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シンガポールPEP(Personalised Employment Pass)が高所得者に向く理由と注意点

最終更新日: 2026年5月15日

シンガポールPEP(Personalised Employment Pass)が高所得者に向く理由と注意点

シンガポールのPersonalised Employment Pass(PEP)は、人材省(MOM)が高所得の外国人専門職に対して発行する就労パスで、特定の雇用主に縛られず働ける柔軟性が最大の特徴です。ただし2023年9月の制度変更で月給要件はS$22,500に引き上げられ、有効期間は最長3年・更新不可と、対象者はかなり絞り込まれています。

Last updated: May 15, 2026

PEPとは何か:EPやONE Passとの位置づけ

PEPは、シンガポールの就労パス階層の中で、標準的なEmployment Pass(EP)と最高位のOverseas Networks & Expertise Pass(ONE Pass)の中間に位置します。MOMは上位約10%のEP保有者を基準にPEPの月給基準をベンチマークしており、明確に「高所得専門職向け」の制度です。

通常のEPが特定の雇用主に紐づくのに対し、PEPは個人に発給されます。雇用主が変わってもパスを再申請する必要がなく、転職や複数オファーの検討、シンガポール市場での自身のキャリア構築がしやすい点が、駐在経験者から高く評価されてきました。

なお、月給S$30,000以上の超高所得者・国際的に著名な専門家にはONE Passという別制度が用意されており、こちらは5年有効で更新可能です。年収レンジが上の場合はONE Passの検討余地があります。

申請対象者と月給要件

2023年9月1日以降、PEPの月給基準は次のように引き上げられました。

  • 既存EP保有者からの切り替え:申請時の固定月給がS$22,500以上
  • 海外居住の外国人専門職:申請の直近6か月以内に最終固定月給がS$22,500以上
  • 発給後の維持要件:年間固定給S$270,000以上(雇用月数にかかわらず)

ここでいう「固定月給」には、基本給に加え、住宅手当・交通手当など固定額で毎月支給される手当が含まれます。賞与・業績連動報酬・株式報酬などの変動報酬は対象外です。

また、海外在住者でも申請できる点はPEPの大きな利点です。シンガポール現地の雇用契約や居住実態がなくても、過去の給与水準を証明できれば申請可能です。

MOMは経済状況に応じて毎年この基準を見直すと明言しているため、申請前にMOM公式のPersonalised Employment Passページで最新値を必ず確認してください。

対象外となる職種・立場

PEPは雇用された専門職向けの制度であり、以下の立場の人は対象外です。

  • シンガポール登録会社の個人事業主
  • パートナーや株主を兼ねる取締役
  • フリーランサー
  • ジャーナリスト、編集者、サブエディター、プロデューサー

起業家・経営者ポジションでシンガポールに移る場合は、EntrePassなど別カテゴリの検討が必要です。給与水準が要件を満たしていても、雇用形態や職種で弾かれるケースがあるので注意してください。

必要書類チェックリスト

申請はMOMの公式ポータル(EP eService / myMOM)からオンラインで提出します。主な必要書類は次のとおりです。

書類

内容

申請書
EP eService上で入力
パスポートのコピー
有効期限に余裕があるもの
最新の履歴書
職歴・学歴を網羅
学歴証明書
卒業証明、学位記など
給与証明
直近3か月の給与明細
納税書類
最新年度の納税証明

海外申請の場合は、直近6か月以内の最終給与が要件を満たしていることを示す書類が必須です。書類の不備は処理遅延の最大要因なので、英訳と原本の整合性を事前に確認しておきます。

申請手順と処理期間

おおまかな流れは次のとおりです。

  1. EP eServiceから申請:オンラインで申請書と添付書類を提出
  2. 処理期間:通常8週間(書類確認や追加照会で延長されることあり)
  3. In-Principle Approval(IPA)レター発行:承認時にMOMから発行
  4. シンガポールへ渡航:IPA発行から6か月以内にシンガポール入国
  5. パス発給手続き:MOMに出頭し、生体情報登録・カード受領

IPAレターは入国用の事前承認シングルエントリービザとしても機能するため、別途観光ビザを取得する必要はありません。

シンガポールの英語環境は独特で、ビジネスの場でもシングリッシュ表現が混ざります。到着前にシンガポール英語とシングリッシュの違いに目を通しておくと、初日からのコミュニケーションが楽になります。

手数料と費用感

項目

金額(SGD)

申請手数料(返金不可)
S$105
発給手数料
S$225
マルチプル・ジャーニービザ追加
S$30

パス自体の手数料は安価ですが、PEP保有者として暮らすには相応のコストがかかります。月給S$22,500クラスの専門職であっても、住宅・教育・税金を踏まえると実質的な可処分所得は想像より低くなることがあります。具体的なイメージはシンガポール駐在員の手取りと生活水準を参考にしてください。

家族の帯同:DPとLTVP

PEP保有者は次のように家族を呼び寄せられます。

  • Dependant's Pass(DP):法的に婚姻関係にある配偶者、21歳未満の子
  • Long-Term Visit Pass(LTVP):事実婚の配偶者、親など、その他適格な家族

DPで帯同した配偶者がシンガポールで就労する場合は、別途Letter of Consent(LOC)またはEPなどの就労許可が必要です。子の現地校・インターナショナルスクール出願にはDPカードのコピーが求められることが多いため、早めに発給を済ませておくと安心です。

注意すべき落とし穴

PEPは便利な反面、見落とすと致命的になる制約がいくつかあります。

  • 更新不可・最長3年:3年経過後はEPの新規申請か永住権(PR)申請に移行する必要があります。3年目に入った段階で次の選択肢の準備を始めるのが現実的です。
  • 6か月失業ルール:6か月を超える失業状態が続くとPEPは取り消されます。逆に言えば、転職活動のためにシンガポールに最長6か月滞在し続けることはできます。
  • 年間固定給S$270,000の維持要件:雇用期間が短い年でも、年間ベースでこの水準を満たす必要があります。短期で離職した年は要件を割り込みやすい点に注意します。
  • 雇用主変更の届出:転職時、新しい雇用開始から7日以内にPEP Notification FormをMOMに提出する義務があります。再申請は不要ですが、届出を怠ると違反になります。
  • 対象外職種:取締役兼株主・フリーランサーなどは申請しても通りません。シンガポール法人の役員兼任が想定される場合は、EPやEntrePassでの検討が必要です。

PEPかEPかで迷う場合、まず通常のEPで入国し、給与・キャリア状況が固まった段階でPEPに切り替えるという選択肢もあります。EPの要件と手順はEmployment Pass申請要件と手順を参照してください。

よくある質問

Q. 海外在住のまま申請できますか?
A. はい。シンガポール現地で雇用されていなくても、居住していなくても申請可能です。直近6か月以内の最終固定月給がS$22,500以上であることが条件です。

Q. PEPは延長や更新できますか?
A. できません。最長3年で一度きりの発給です。継続して滞在したい場合はEPの新規取得かPR申請を検討します。

Q. 自営業者や会社の株主でも申請できますか?
A. できません。個人事業主、パートナーや株主を兼ねる取締役、フリーランサーは明示的に対象外です。

Q. 失職したらすぐ国外退去ですか?
A. いいえ。最長6か月、新たな職を探すためにシンガポールに滞在できます。6か月を超えるとPEPは取り消されます。

Q. 処理期間はどのくらいですか?
A. 通常8週間です。書類の追加照会が入るとさらに延びるため、入国時期から逆算して余裕を持って申請してください。

申請前の最終チェック

PEPは「高所得・専門職・特定雇用主に縛られたくない人」に対して、シンガポールでの3年間の活動自由度を最大化する制度です。ただし更新不可・対象外職種・固定給維持要件など、申請後の運用面での制約が多いため、3年スパンでのキャリア計画と並行して検討するのが現実的です。手数料・月給基準は毎年見直されるため、申請直前にMOM公式ページで最新値を再確認してください。

シンガポールは英語が公用語ですが、現地のチームミーティングや顧客対応では中国語やマレー語が飛び交う場面も少なくありません。生活や仕事の幅を広げるために現地の言語を学ぶなら、ドラマやニュースなどネイティブの素材から学習できるMigakuが役立ちます。 try Migaku

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