アメリカの住宅ローンを外国人が組む条件と銀行選び【2026年版】
最終更新日: 2026年5月22日

アメリカで外国人が住宅ローンを組むことは可能ですが、ビザの種類、在留状況、信用履歴の有無によって利用できる商品と条件が大きく変わります。永住者は米国市民とほぼ同じ条件で借入できる一方、非永住者や非居住外国人は頭金30%前後、金利は通常より1〜2%高い水準が一般的です。
Last updated: May 22, 2026
アメリカで外国人が住宅ローンを組めるのか
外国人による米国不動産購入は活発で、全米リアルター協会(NAR)の2025年報告書によれば、2024年4月から2025年3月までの外国人による既存住宅購入額は560億ドル、件数は78,100件で前年比33.2%増となりました。購入価格の中央値は494,400ドルで、米国全体の中央値408,500ドルを上回っています。
ただし、購入者の47%が現金購入で、非居住外国人に限ると56%が現金です。これは住宅ローン取得のハードルが米国人より高いことを反映しています。とはいえ、適切な貸付業者を選び、書類を揃えれば、ビザ保持者や非居住外国人でも融資を受けることは十分に可能です。
在留資格別に見るローン利用区分
アメリカの住宅ローンは大きく4つの借入者カテゴリーに分かれます。
区分 | 利用可能な主な商品 | 頭金の目安 |
|---|---|---|
米国市民・永住者(グリーンカード) | コンベンショナル、FHA、USDA、VA | 3〜3.5%〜 |
非永住者(H-1B、L-1、E-2など有効ビザ+EAD) | コンベンショナル | 3〜5%〜 |
ITIN保持者(SSN無し、米国居住あり) | ITINローン(ノンQM) | 15〜25%〜 |
非居住外国人(海外在住) | フォーリンナショナルローン、DSCRローン | 30〜50% |
2025年3月26日付HUD通達「Mortgagee Letter 2025-09」により、2025年5月25日以降に発番されたFHAケースでは非永住者がFHA保険付きローンの対象から外されました。現行ルールでは、FHA、203(k)改修ローン、ストリームライン借り換え、HECMはすべて米国市民および合法永住者のみが利用できます。USDAローンも2025年3月18日改定で同様に非永住者は対象外となっています。
つまり、非永住者や非居住外国人がFHAやUSDAを使うことはできず、選択肢はコンベンショナル融資または外国人向けノンQM商品に絞られます。
永住者・非永住者がコンベンショナル融資を使う条件
ファニーメイ・フレディマックの基準では、有効なビザまたは就労許可を保持する非永住者でも、「3年以上の収入継続見込み」が書類で確認できれば、米国市民とほぼ同条件で借入が可能です。
主な要件は以下のとおりです。
- 最低クレジットスコア:620(多くの貸付業者の基準)
- 頭金:永住者は3%〜、非永住者は5%〜が一般的
- 雇用継続証明:雇用主からの3年以上継続見込みのレター
- ビザ書類:H-1B、L-1、E-2、O-1などの有効ビザ、またはEAD
- 2026年のコンフォーミングローンリミット:大半の地域で832,750ドル、高コスト地域では1,249,125ドル
FHAについては、永住者であればクレジットスコア580以上で頭金3.5%、500〜579なら10%という従来基準が継続しています。
非居住外国人向け(フォーリンナショナル)ローン
米国に居住せず、海外から投資目的または別荘目的で物件を購入する場合は、専門の「フォーリンナショナルローン」を扱う民間銀行・ノンQM貸付業者を利用します。
2026年5月時点の市場感は次のとおりです。
- 金利:DSCRローンで6.875%〜8.50%(米国LLC名義の賃貸物件向け)
- 標準的な米国国内向け金利より約1〜2%高い
- 頭金:通常30%、最大30〜50%
- リザーブ:12か月分の住宅ローン支払額相当の流動資産
- 処理期間:通常30〜45日、書類検証や送金で最大60日
投資用物件で人気のDSCR(債務返済負担率)ローンは、借入者個人の所得ではなく物件の家賃収入で返済能力を判定します。最低DSCR 1.0(推奨1.25以上)、最高LTV 75%、融資額10万ドルから350万ドル超まで対応する貸付業者があります。
銀行・貸付業者の選び方
外国人向け融資は一般の大手銀行支店窓口では断られることが多く、専門部署または専門業者を選ぶ必要があります。選定のポイントは次のとおりです。
- 外国人融資の取扱実績:年間案件数、対応国の幅
- ビザ種類への対応:自分のビザカテゴリーが受け付け可能か事前確認
- 必要なクレジット履歴:米国内クレジット履歴がない場合、海外の信用情報(International Credit Report)で代替できるか
- 言語サポート:日本語対応のローンオフィサーがいるか
- 物件タイプ:自己居住用、投資用、商業用のどれに強いか
HSBC、Citibank、East West Bank、Cathay Bankなどはインターナショナル顧客部門を持っており、日系では住信SBIネット銀行系列の米国法人や三菱UFJ銀行のロサンゼルス・ニューヨーク支店が日本居住者向け融資を扱っています。専業のフォーリンナショナル貸付業者も複数存在し、海外送金資金やDSCR物件に柔軟に対応しています。
生活インフラを整える順序として、まず銀行口座を開設するための完全ガイドを参考に米国の銀行口座を作り、賃貸期間中の家賃支払い履歴を残すと審査で有利になります。
必要書類チェックリスト
外国人借入者は米国人より多くの書類を求められます。標準的なリストは以下です。
- パスポート、有効な米国ビザまたはI-94記録
- グリーンカードまたはEAD(該当者)
- 過去2年分の確定申告書(米国または母国)
- 過去2か月分の銀行取引明細(米国口座および海外口座)
- 雇用証明書、給与明細直近2〜3か月
- 海外送金資金の出所証明書(売却契約書、贈与契約書、配当通知など)
- 国際クレジットレポートまたは母国の信用情報
- 米国内不動産購入契約書(売買契約書)
- ITIN保持者の場合はITIN付与通知書
海外から送金した頭金資金は通常30〜60日間「シーズニング」(口座保有実績)が必要で、AML(マネーロンダリング防止)審査の対象となります。資金は決済の少なくとも2か月前に米国の口座へ移しておくのが安全です。
申請から決済までの流れ
一般的なステップは次のとおりです。
- 事前審査(プリクオリフィケーション):所得・資産・ビザ書類を提出して借入可能額を確認
- 物件契約:購入物件の売買契約を締結し、エスクロー開設
- 本申請:Loan Application(Form 1003)を提出、不動産鑑定・タイトル調査を実施
- アンダーライティング:書類精査、追加質問への対応
- クロージング:決済書類署名、頭金・諸費用送金、所有権移転
非居住外国人の場合、リモートクロージングが可能か、米国大使館・領事館または公証人での署名認証が必要かを早めに確認してください。
FIRPTAと売却時の源泉徴収
購入時には直接関係しませんが、外国人が将来物件を売却する際にはFIRPTA(外国人不動産投資税法、IRC §1445)の源泉徴収が発生します。
- 標準源泉徴収率:売却総額の15%
- 売却価格30万ドル以下で買主が居住用に使う場合:0%(免除)
- 30万1ドル〜100万ドルで居住用:10%
- それ以外:15%
- Form 8288およびForm 8288-Aは決済日から20日以内にIRSへ提出
- Form 8288-B(源泉徴収軽減証明書)の処理にはIRSで約90日
- Form 1040-NRによる還付は通常6〜12か月
購入時の段階で出口戦略として把握しておくと、後の資金繰りで困りません。詳細はIRS公式ページで最新情報を確認してください。
制裁対象国の国民への制限
OFACコンプライアンスにより、包括的米国制裁対象国(キューバ、イラン、北朝鮮、シリア)の国民は原則として米国住宅ローンを取得できません。ロシアおよびベラルーシ国民もウクライナ関連制裁により、貸付業者ごとに大幅な制限を受けます(2026年5月時点)。日本国籍者にこの制限は適用されませんが、二重国籍の方は注意が必要です。
よくある落とし穴
- 米国内クレジット履歴がゼロのまま申請してしまう:渡米後すぐにセキュアードカードや少額クレジットカードで6〜12か月の履歴を作ると有利
- 頭金資金の出所を証明できない:海外口座からの送金は出所書類とシーズニング期間が必須
- 雇用ビザの残存期間が短い:H-1Bの更新予定であれば、雇用主の継続レターを準備
- 物件所在州の規制を見落とす:テキサス州・フロリダ州など一部州では特定国籍者の不動産購入を制限する州法があるため、各州司法長官事務所の最新発表を確認
- 賃貸履歴が無い:購入前にまず賃貸で生活し、家賃支払い履歴を蓄積する。アメリカでアパートを探す方法や日本人向けシェアハウスを探すが参考になります
FAQ
Q. SSNが無くてもローンは組めますか?
A. ITIN(個人納税者番号)があれば、ITINローンを扱うノンQM貸付業者で借入可能です。頭金は自己居住用で15〜25%が目安です。
Q. 日本にいながらアメリカの不動産を購入してローンも組めますか?
A. 可能です。フォーリンナショナルローンまたはDSCRローンを扱う専業貸付業者を利用します。頭金30%以上、金利6.875%〜8.50%(2026年5月時点)が目安です。
Q. 日本の収入は審査で評価されますか?
A. 評価されます。日本の確定申告書(英訳付き)、雇用証明、銀行残高証明を提出します。米国市民・永住者で海外勤労所得控除(Form 2555)を使う場合、2024年の上限は個人126,500ドル、夫婦合算で253,000ドルです。
Q. 金利は固定と変動どちらが良いですか?
2026年5月時点では金利が高止まりしているため、5年または7年のARM(変動金利)で初期金利を抑え、将来の借り換えを視野に入れる選択も検討に値します。ただし金利見通しは変動するため、複数業者から見積もりを取ってください。
Q. 審査にはどれくらい時間がかかりますか?
外国人向けは通常30〜45日、国際書類検証や送金で最大60日かかる場合があります。決済日からの逆算でスケジュールを組んでください。
アメリカで住宅ローンを組む過程では、ローンオフィサー、不動産エージェント、エスクロー担当との英語でのやり取りが避けられません。契約書の細部を自分で読み解けるレベルの英語力があると交渉で有利になります。実生活の英語を効率よく身につけたい方は、try Migakuで米国の動画や記事を教材化しながら学ぶ方法も検討してみてください。