H-1B抽選の仕組みと当選確率を上げる戦略を2026年版で解説
最終更新日: 2026年5月27日

H-1B抽選は、米国移民局(USCIS)が年間の枠を超える応募者から発給対象者を電子的に選ぶ仕組みです。FY2027(2026年10月1日開始の会計年度)からは賃金レベルに応じた「加重選考方式」が初めて導入され、ルールが大きく変わりました。
Last updated: May 27, 2026
H-1B抽選の基本構造
H-1Bビザは米国の専門職就労ビザで、議会によって年間発給数に上限が設けられています。需要が供給を大幅に上回るため、USCISは電子登録(electronic registration)を通じて応募を受け付け、抽選で選ばれた登録者のみが正式なI-129申請を提出できる仕組みになっています。
年間の発給枠は次のように構成されています。
- 通常枠(regular cap): 65,000件
- 修士号枠(master's cap): 20,000件(米国の高等教育機関で修士号以上を取得した者向け、通常枠から免除)
- H-1B1枠: 通常枠の65,000件のうち最大6,800件が米国・チリおよび米国・シンガポール自由貿易協定向けに確保
合計で最大85,000件の承認が可能で、FY2027分の就労開始は2026年10月1日以降となります。
FY2027から始まった加重選考方式
米国国土安全保障省(DHS)は2025年12月23日に最終規則を公表し、2026年2月27日に発効した加重選考方式が、FY2027登録シーズンから初めて適用されました。これは従来の「1人1エントリー」のランダム抽選から、賃金レベルに応じてプールへのエントリー回数を変える方式への転換です。
OEWS(Occupational Employment and Wage Statistics)の賃金レベルごとのエントリー回数は次の通りです。
OEWS賃金レベル | 抽選プールへのエントリー回数 |
|---|---|
レベルIV(最高位) | 4回 |
レベルIII | 3回 |
レベルII | 2回 |
レベルI(最低位) | 1回 |
この方式の下では、より高い賃金が提示される候補者ほど統計的に選定される確率が高まります。一方で、同一の受益者が複数の雇用主から登録された場合でも、ユニーク受益者は数値割当に対して1回のみカウントされる原則は維持されています。
FY2027の登録スケジュールと結果
FY2027の登録は以下のスケジュールで実施されました。
- 登録開始: 2026年3月4日(米国東部時間正午)
- 登録締切: 2026年3月19日(米国東部時間午後5時)
- 初期登録期間: 最低14暦日(規則上の最小期間)
- 選考結果通知: 2026年3月31日までに雇用主へ通知見込み(民間法律事務所情報)
USCISは、FY2027の通常枠および修士号枠の双方に達するのに十分な電子登録を受領し、選考を完了したと発表しています。選定されなかった登録は、その会計年度の上限に達したとUSCISが判断するまで「Submitted」ステータスのまま保持されます。
登録に必要な情報と費用
電子登録時には、雇用主(または代理人弁護士)が受益者ごとに以下の情報を提出します。
- 受益者の氏名、生年月日、国籍
- 有効なパスポートまたは渡航文書情報(受益者1人につき1つのみ)
- 修士号枠該当の有無
- 関連するSOCコードおよび就労予定地域における提示賃金が等しいか上回る最高のOEWS賃金レベル
費用と支払いに関する2026年時点の重要事項は以下の通りです。
- 登録料: 受益者1人あたり215ドル(非還付)
- 一括アップロード上限: 1テンプレートにつき最大2,500人
- クレジットカード1日取引上限: 99,999.99ドル(旧24,999.99ドルから引き上げ)
- 99,999.99ドル超の取引はACH(Automated Clearing House)経由で実施
また、2025年9月にホワイトハウスは、2025年9月21日以降に提出される特定の新規H-1B申請に対し10万ドルの追加手数料を課すと発表しました。これは民間情報源で報じられているもので、訴訟が継続中のため、最新の運用状況はUSCIS公式で必ず確認してください。
当選確率を上げるための実践的戦略
加重選考方式の導入により、確率を高めるための合理的な打ち手が変わりました。違法な複数登録や形だけのスポンサー設定はUSCISの取り締まり対象であり、推奨されません。以下は規則の枠内で取り得る戦略です。
- 賃金レベルを意識した職務設計: 提示賃金がOEWSのレベルIIIまたはIVに該当するポジションを目指す。職務記述書、必要経験年数、責任範囲を適切に設計することで、合法的に高い賃金レベルに位置づけられる場合があります。
- 米国修士号の取得: 米国の認定された高等教育機関で修士号以上を取得すれば、修士号枠(20,000件)の対象となり、通常枠と修士号枠の二段階で選考機会が増えます。ただし申請(Form I-129)提出時点で学位を取得済みでなければなりません。
- 登録情報の正確性: パスポート情報、氏名、生年月日の誤入力は重複扱いや却下の原因になります。各受益者は1つのパスポートのみで登録できる点に注意。
- 代替ビザの並行検討: O-1、L-1、E-2、Cap-exempt H-1B(大学・関連非営利機関)など、抽選を経由しない選択肢を同時に評価しておく。アメリカビザの種類と取得方法も参考になります。
- スポンサー雇用主の精査: 過去のコンプライアンス記録、賃金実績、サポート体制を確認する。ビザスポンサーシップの探し方で雇用主選定の基本を押さえておきましょう。
- 開始日の整合性確認: Form I-129の開始日は会計年度初日(10月1日)以降かつ申請受領日から6か月以内でなければならず、違反すると却下または不認可となります。
- 賃金根拠の文書化: 抽選後の申請時に、登録に使った賃金レベルの算定根拠と提示賃金との整合性を説明できるよう、職務記述書、賃金調査資料、OEWSデータを保管しておく。
よくある落とし穴
- 複数雇用主からの不自然な登録: 同一受益者に対し、関連性のある複数の雇用主が登録を行うとUSCISの調査対象になります。雇用主はH-1B候補者1人につき1件のみ登録可能です。
- 賃金レベルの誤申告: 加重選考方式の下で意図的に高い賃金レベルを申告し、後の申請で整合性が取れない場合、申請が不認可となるリスクがあります。
- 修士号未取得での修士号枠選定: 修士号枠で選ばれても、I-129提出時に学位が未取得であれば却下されます。
- 支払い方法のミス: 大規模な雇用主が一括登録する際、上限を超えるカード決済は弾かれます。ACH経由の段取りを事前に整えること。
- 税務手続きの見落とし: 渡米後の所得申告も重要です。アメリカで働く際の税務手続きで基本を確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 抽選に外れた場合、来年再挑戦できますか?
A. はい。選定されなかった登録は「Submitted」のまま保持され、その会計年度の枠が埋まったとUSCISが判断した時点で「Not Selected」に切り替わります。翌年の登録シーズンに改めて登録する必要があります。
Q. 加重選考方式で、レベルIの登録は不利になりますか?
A. レベルIは1回のエントリー、レベルIVは4回のエントリーとなるため、相対的に当選確率は下がります。ただしレベルIでも抽選プールには参加するため、機会がゼロになるわけではありません。
Q. 215ドルの登録料は還付されますか?
A. 還付されません。抽選に外れた場合も返金はありません。
Q. パスポートを更新したら再登録が必要ですか?
A. 登録期間中は各受益者につき1つのパスポート/渡航文書のみで登録します。期間後に更新した場合は、I-129申請時に新しい情報を反映させます。
Q. 米国外からでも応募できますか?
A. はい。受益者は米国外にいても問題ありません。抽選に選ばれた後、I-129が承認されれば、領事館で査証を取得し渡米します。
Q. FY2027の登録件数は何件でしたか?
A. 2026年5月時点でUSCISから具体的な登録総数は公表されていません。最新の公式統計はUSCIS公式ニュースルームで確認してください。
公式情報の確認先
H-1B規則は政権交代や訴訟により短期間で変わることがあります。応募・準備にあたっては必ず以下を確認してください。
- USCIS H-1B Cap Season公式ページ
- USCIS Electronic Registration FAQ
- 経験豊富な移民弁護士への相談
米国で働きながら生活を軌道に乗せるには、職場や日常での英語コミュニケーション力も大きな差になります。実際のドラマやニュースを教材化して英語を学べるMigakuを試すのは、渡米準備の現実的な一歩です。