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ニュージーランドの公的医療の仕組みを解説|医療費・受診方法・日本との違いを留学前に知る情報まとめ

最終更新日: 2026年5月16日

ニュージーランドの公的医療制度を日本の保険制度と比較する

ニュージーランドの公的医療は、税収を主な財源とし、対象資格者であれば公立病院の入院・手術が原則無料という仕組みです。

一方で、GP(家庭医)受診や処方箋には自己負担があり、日本の国民皆保険とは設計思想が異なります。

本記事では、「使える言語力」を育てる語学学習プラットフォーム「Migaku」が、ニュージーランドの公的医療の仕組みについて、徹底解説します。

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ニュージーランド公的医療の全体像

ニュージーランドの公的医療制度は、2022年7月1日施行の Pae Ora (Healthy Futures) Act 2022 によって大きく再編されました。

それ以前に存在した20の地区保健委員会(DHB)は廃止され、単一の全国機関 Health New Zealand(Te Whatu Ora) に統合されています。

運営は北部(Northern)、Te Manawa Taki、中央(Central)、Te Waipounamu の4地域に分かれています。

2025年1月には Simeon Brown 氏が保健大臣に就任しました。

なお、2024年6月には法改正によりマオリ保健局(Te Aka Whai Ora)が廃止され、その機能は Health NZ に統合されています。

財源は一般税収で、Budget 2025 の Vote Health(保健省予算)は約310.52億NZドル規模となっており、近年の人口増加やインフレ対応に伴い、政府は待機時間短縮や Health NZ の基準予算拡充を進めています。

日本の健康保険制度との根本的な違い

日本の制度は社会保険方式で、被用者保険(健康保険組合、協会けんぽ)と国民健康保険の二本立てが基本です。

保険料を支払い、医療機関で原則3割(高齢者・子どもは別区分)を自己負担します。

フリーアクセスで、どの医療機関でも保険証一枚で受診できます。

ニュージーランド側は税方式で、対象者は公立病院のサービスを原則無料で受けられる一方、GP(家庭医)登録制が前提となります。

専門医にかかるには GP の紹介状(referral)が必要で、フリーアクセスではありません。

項目

日本(健康保険)

ニュージーランド(Health NZ)

財源
社会保険料+公費
一般税収
加入手続き
就業・居住で自動加入
対象資格者は eligibility に基づき利用可
公立病院入院
原則3割負担
対象者は原則無料
GP・診療所
原則3割負担
全額または一部自己負担(診療所が料金設定)
専門医アクセス
フリーアクセス
GPの紹介状が必要
労災・事故
労災保険・健康保険
ACC(居住者・訪問者全員対象)

公的医療の対象になる人

Health NZ の公的医療を無料・低額で利用できる主な対象者は次の通りです。

  • ニュージーランド市民(Cook Islands、Niue、Tokelau を含む)
  • 永住者・永住ビザ保持者
  • 2年以上滞在予定のオーストラリア市民・永住者
  • 2年以上連続の労働ビザ保持者(一部サービス・PHARMAC補助の対象)

ワーキングホリデーや短期就労ビザの場合、公的医療の一部しかカバーされないため、民間の医療保険加入が事実上必須です。

ビザ条件と医療カバレッジの関係は、移住前に必ず Immigration NZ で確認してください。

長期滞在を視野に入れる人はニュージーランドのワーホリ制度もあわせて参照すると、就労区分ごとの位置づけが整理しやすくなります。

短期観光の場合はニュージーランド観光NZeTA申請が必要ですが、観光客は公的医療の対象外で、ACC(傷害補償)のみ自動適用されます。

GP・処方箋・診察料の実際

ニュージーランドのプライマリケアは、地域の GP 診療所への登録から始まります。

診療所ごとに料金体系が異なり、成人の標準料金はおおむね20〜80NZドル程度。Community Services Card(CSC)保持者は割引が適用されます。

14歳未満の子ども(tamariki)は、ほとんどの GP 診察料、傷害関連の受診、時間外救急ケアが無料(Zero Fees制度)です。

年12回以上 GP を受診する慢性疾患患者には High Use Health Card(HUHC)が発行され、受診費用が軽減されます。

処方箋の自己負担は、承認された処方者からの場合、1薬剤あたり最大5NZドル(2024年7月1日に復活)。

私立専門医や歯科医からの処方箋では15NZドル、14〜17歳は10NZドルとなります。

2025年2月1日からは、Community Services Card 保持者であっても私立専門医・歯科医からの処方箋には5NZドルの自己負担が発生するようになりました。

2026年からは、一部の安定した慢性疾患患者を対象に、医師の判断で最大12か月分の長期処方を可能にする制度拡大が進められています。

ただし、対象薬剤や患者条件によって運用が異なり、すべての処方が一律に12か月化されるわけではありません。

年間で家族が20品目分の処方を受けると、Prescription Subsidy Card の対象となり、翌年2月1日までの処方料が無料になります。

どの医薬品が補助対象になるかは、政府機関 PHARMAC(Te Pātaka Whaioranga)が決定しています。

ACC(事故補償スキーム)という独自制度

日本の制度との最大の違いの一つが ACC(Accident Compensation Corporation)です。

ACC は、ニュージーランドの居住者だけでなく、観光客を含むすべての訪問者に対して、事故による対人傷害の補償を提供する全国スキームです。

交通事故、スポーツ中の負傷、職場での労災などが対象になります。

財源は給与所得者から徴収される ACC Earners' Levy で、2025年4月1日からは GST 込みで1.67%(従来1.60%)に引き上げられました。

最大課税所得は142,283NZドルから152,790NZドルに引き上げられています。

さらに2026年4月1日からは、100NZドルあたり1.75NZドル(1.75%)に上がり、最大課税所得も156,641NZドルになる予定です。

日本でいう労災保険+自賠責+傷害保険を一括した制度に近く、加害者・被害者を問わず迅速に治療費・休業補償が支払われる代わりに、原則として民事の損害賠償訴訟は提起できないという設計です。

待ち時間と専門医アクセスの現実

公的制度の課題として、選択的治療(elective surgery)の待ち時間があります。

政府は「選択的治療の95%を4か月以内に実施」する目標を2030年までに達成するとし、2024/25年度末に63%、2025/26年度に67%の中間目標を設定しました。

しかし2025年1月時点で、選択的手術を4か月以内に受けた患者は60%にとどまっています。

2025年3月、Simeon Brown 保健大臣は10,600件の手術を5,000万NZドルで民間病院に外部委託すると発表しました。

さらに2025年2月時点では、最初の専門医評価(FSA: First Specialist Assessment)を4か月以上待っている患者が74,000人を超えていました。

日本のように予約なしで専門医を受診する文化はありません。

緊急性が低いと判断された場合、数か月から1年以上の待機もあり得る点は、移住前に理解しておくべきです。

2026年7月1日からは新しいプライマリケア国家健康目標が施行される予定で、状況改善が期待されています。

類似の GP 紹介制を採るアイルランドの制度についてはアイルランド医療HSEの仕組みが参考になります。

無料で利用できるサポートサービス

Health NZ は、有料の GP 受診以外にも、無料または低額で利用できるサービスを整備しています。

  • Healthline(0800 611 116):24時間・週7日の無料電話健康相談
  • Access and Choice プログラム:マオリ・パシフィカ住民および12〜24歳は、紹介なしで無料メンタルヘルスサービスを利用可能
  • Sexual Wellbeing クリニック:22歳以下は緊急避妊ピルを無料で入手可能
  • 予防接種:対象者は患者負担なしで受けられる項目が多い

緊急時の救急車利用は、提供団体や地域によって有料です(St John 救急など)。日本の119番のように完全無料ではない点に注意してください。

移住者がよくつまずくポイント

  • GP 登録を後回しにする:登録患者と非登録患者で料金が大きく異なります。住所が決まったら早めに近隣の診療所へ登録してください。
  • 民間保険の必要性を過小評価する:公的制度では待ち時間が長いため、白内障・整形外科など待機ありの分野では民間保険があると選択肢が広がります。
  • 処方箋制度を日本と同じだと考える:医師の処方なしに購入できる薬の範囲、薬剤師の権限が日本と異なります。
  • ACC と医療保険を混同する:病気は ACC の対象外。事故は健康保険ではなく ACC が一次的にカバーします。
  • Community Services Card の申請を忘れる:低所得世帯であれば申請可能で、GP 料金や処方箋料金の軽減につながります。最新の所得閾値は Work and Income 公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. 日本の健康保険証はニュージーランドで使えますか?
A. 使えません。日本と NZ の間には包括的な医療相互協定はありません。日本の海外療養費制度を使って一部払い戻しを受けることは可能ですが、対象は日本の保険適用範囲・点数に限定されます。

Q. 永住権取得前でも公的医療を受けられますか?
A. 2年以上の労働ビザ保持者は一部対象になります。詳細はビザ種別ごとに異なるため、Health NZ の eligibility ページで確認してください。

Q. 歯科は公的医療に含まれますか?
A. 18歳未満は公的歯科ケアの対象ですが、成人の歯科治療は原則自己負担で、料金は日本より高額になる傾向があります。民間保険または事前の歯科治療完了を勧めます。

Q. 妊娠・出産は無料ですか?
A. 対象者であれば、Lead Maternity Carer(助産師または GP)を選び、産前産後ケアと公立病院での出産が公費でカバーされます。

Q. 処方箋の12か月分まとめ受け取りは誰でも使えますか?
A. 一部の安定した慢性疾患患者を対象に、医師の判断で長期処方が認められる方向で制度変更が進められています。対象薬剤や条件は個別に異なるため、GP や薬剤師への確認が必要です。

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