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Self Assessmentで確定申告するイギリス在住者向けガイド

最終更新日: 2026年5月21日

Self Assessmentで確定申告するイギリス在住者向けガイド

イギリス在住で自営業を営んでいる方、複数の収入源がある方、家主として家賃収入を得ている方は、HMRC(His Majesty's Revenue and Customs)にSelf Assessmentを通じて確定申告を行う義務があります。本記事では、2025/26課税年度を中心に、登録から提出、納税、ペナルティ回避までの実務を整理します。

Last updated: May 21, 2026

Self Assessmentとは何か、誰が提出する必要があるか

Self Assessmentは、PAYE(給与天引き)で完結しない所得を申告するためのHMRCの制度です。日本の確定申告に相当しますが、課税年度はカレンダーイヤーではなく、4月6日から翌年4月5日までの「tax year」で区切られます。

以下のいずれかに該当する場合、申告義務が発生する可能性があります。

  • 自営業(sole trader)として年間£1,000超の収入がある(trading allowanceを超える)
  • パートナーシップに参加している
  • 家賃収入、配当、利子、海外所得など、PAYE以外の所得がある
  • PAYEで課税される所得が£150,000を超える(2025/26課税年度以降、従来の£100,000から引き上げ)
  • High Income Child Benefit Charge(HICBC)の対象(所得£60,000超でChild Benefitを受給)
  • キャピタルゲインがあり、年間の控除額を超える
  • 海外在住で英国源泉所得があるなど、SA109(居住地補足ページ)が必要なケース

海外送金や英国外との資金移動を伴う方は、イギリスから日本への送金方法もあわせて確認しておくと、申告時の為替換算や記録管理がしやすくなります。

2025/26および2024/25課税年度の主要期限

まず期限を整理します。期限を1日でも過ぎると自動的にペナルティが発生するため、カレンダー登録は必須です。

課税年度

紙申告期限

オンライン申告期限

納税期限

2024/25(2024年4月6日~2025年4月5日)
2025年10月31日
2026年1月31日 23:59
2026年1月31日
2025/26(2025年4月6日~2026年4月5日)
2026年10月31日
2027年1月31日 23:59
2027年1月31日

そのほか押さえておくべき期限は次のとおりです。

  • Self Assessment新規登録:2025/26課税年度については2026年10月5日までにHMRCへの登録が必要
  • 税コード回収を希望する場合:納税額が£3,000未満かつPAYE被雇用者または企業年金受給者であれば、2025/26年度については2026年12月30日までにオンライン提出することで、税額を翌年度の税コードに反映して分割回収できます
  • Payments on account(前納):前年の税額が£1,000超かつ源泉徴収率が80%未満の場合、第1回1月31日、第2回7月31日に分割前納

登録から申告までのステップ

初めて申告する方は、以下の順番で進めます。

  1. HMRCに登録する:GOV.UKのSelf Assessment登録ページから申し込み。自営業者、非自営業者、パートナーシップで様式が異なります。
  2. UTR(Unique Taxpayer Reference)を受け取る:通常10営業日、海外在住者の場合は最長21日でHMRCから10桁の番号が郵送されます。
  3. Government Gateway IDを設定する:オンライン申告に必要です。activation codeも別便で届きます。
  4. 記録を整理する:所得・経費・銀行明細・配当証明・P60/P45・家賃収入記録などを課税年度ごとに集計します。
  5. オンラインで申告書を入力する:HMRCのオンラインサービスで本体(SA100)と該当する補足ページ(自営業はSA103、賃貸はSA105、居住地ステータスはSA109など)を埋めます。2024/25年度の申告では97%超がオンラインで提出されています。
  6. 税額を確認して納付する:オンライン申告では送信後すぐに税額が計算されます。納付方法はオンラインバンキング、デビットカード、Direct Debitなどから選べます。

なお、SA109(居住地補足)、信託・遺産所得、特定のパートナーシップ参加者などは、HMRCの無料オンラインシステムを利用できません。これらのケースではサードパーティ製の認定ソフトウェア、または紙申告(10月31日期限)が必要になります。

必要書類チェックリスト

申告書を埋め始める前に、以下を手元に揃えておくと作業がスムーズです。

  • UTR(10桁)とGovernment Gatewayログイン情報
  • National Insurance番号
  • 課税年度内に受け取ったP60、P45、P11D
  • 自営業の収入・経費の集計(請求書、領収書、銀行明細)
  • 家賃収入の明細と関連経費(mortgage interest、修繕費、管理費など)
  • 銀行・建築組合からの利子証明書
  • 配当証明書、株式売却記録
  • 海外所得とその源泉徴収証明(必要に応じて)
  • 年金拠出、寄付(Gift Aid)の記録
  • 前年の申告書(参照用)

所得税率と控除(2025/26および2026/27)

イングランド・ウェールズ・北アイルランドの所得税率は以下のとおりです。スコットランド居住者は別の6段階制が適用されます。

区分

課税所得帯

税率

Personal Allowance
£0~£12,570
0%
Basic rate
£12,571~£50,270
20%
Higher rate
£50,271~£125,140
40%
Additional rate
£125,140超
45%

Personal Allowance(£12,570)は2030/31年度まで凍結が決定しています。所得が£100,000を超えると£2につき£1ずつ減額され、£125,140で完全に消失します。

2025年11月のAutumn Budgetで決定された変更点として、配当税率が2026年4月から2ポイント引き上げ(基本8.75%→10.75%、higher 33.75%→35.75%)、貯蓄・賃貸所得税率は2027年4月から2ポイント引き上げが予定されています。

ペナルティと延滞利息

期限超過は次の段階でペナルティが累積します。納税額がゼロでも初期ペナルティは課されます。

  • 1日でも遅延:£100の固定ペナルティ
  • 3ヶ月超過:1日£10の日次ペナルティ(最大£900)が追加
  • 6ヶ月超過:未納税額の5%または£300のいずれか高い方が追加
  • 12ヶ月超過:さらに同様のペナルティが追加

納税額に対する延滞利息率は、2026年1月9日からイングランド銀行政策金利+4%の7.75%に設定されています。逆に還付がある場合の利息は政策金利-1%(下限0.5%)の2.75%です。

Making Tax Digital for Income Tax(MTD ITSA)

2026年4月6日から、自営業者および家主のうち年間£50,000超の総収入がある人は、Making Tax Digital for Income Tax(MTD ITSA)の対象となり、四半期ごとの報告と年次決算の電子提出が義務化されます。閾値は2027年4月から£30,000超に引き下げ予定です。

対象者は対応する記帳ソフトウェアを使う必要があり、紙の帳簿やスプレッドシートのみでの申告はできなくなります。該当しそうな方は、2026年度開始前にソフトウェア選定と帳簿のデジタル化を済ませておくのが安全です。

よくある落とし穴

  • 登録忘れ:10月5日の登録期限を過ぎると、UTR発行が間に合わずオンライン申告期限に間に合わなくなる恐れがあります
  • Payments on accountの見落とし:1月に「今年度の税金」と「次年度第1回前納」が同時請求されるため、初年度は資金繰りに注意
  • 海外所得の申告漏れ:日本の銀行利子、配当、不動産収入なども原則申告対象。日英租税条約の適用関係はHMRCの最新ガイダンスで要確認
  • HICBC:配偶者が£60,000超の所得でChild Benefitを受給している場合、受給者でなくても申告義務が生じることがあります
  • 税コード「1257L」前提の過信:副業や投資所得があると実際の税額がPAYE計算と乖離します
  • 領収書の保管不足:自営業者は最低5年間の記録保持が必要

生活費の高い地域で経費計上の判断に迷う方は、イギリスの生活費と物価比較も参考になります。学業後の在留資格でフリーランス収入を得ている方は、イギリス大学卒業後の滞在制度で就労条件を再確認しておきましょう。

FAQ

Q. 給与所得しかなくても申告は必要ですか?
A. 通常はPAYEで完結するため不要ですが、所得が£150,000超、副業£1,000超、配当・利子の課税枠超過、HICBC対象などに該当する場合は必要です。

Q. UTRが届かないまま期限が迫っています。
A. HMRCのSelf Assessmentヘルプライン(0300 200 3310)に連絡し、状況を記録に残してください。登録手続きを期限内に完了していれば、ペナルティが軽減される余地があります。

Q. 紙とオンラインのどちらが良いですか?
A. オンラインのほうが期限が3ヶ月遅く、計算も自動です。SA109など特定の補足ページが必要な場合のみ紙またはサードパーティソフトを検討します。

Q. 還付はいつ受け取れますか?
A. オンライン申告なら通常数週間以内。銀行口座情報を申告書に登録しておくと振込が早まります。

Q. 申告内容を間違えた場合は?
A. 提出後12ヶ月以内であればオンラインで修正可能です。

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