Stamp 1Gとは:アイルランド語学学校卒業後の就労延長制度
最終更新日: 2026年5月19日

アイルランドのStamp 1Gは、アイルランド国内の認定大学・高等教育機関でNFQ Level 8以上の学位を取得した非EEA/非スイス/非英国の卒業生が、卒業後にアイルランドへ合法的に滞在し、雇用許可なしでフルタイム就労できる制度です。語学学校(ELE)の修了者は対象外で、あくまで第三段階教育機関の学位取得者を対象とした制度であることに注意が必要です。
Last updated: May 19, 2026
Stamp 1Gの基本と対象者
Stamp 1Gは、正式名称を Third Level Graduate Programme(TLGP)といい、アイルランド入国管理局(Immigration Service Delivery, ISD)が運営しています。卒業後の就労機会を確保し、長期的なキャリアにつなげるための「橋渡し」の在留資格と位置づけられています。
対象となるのは次の条件をすべて満たす卒業生です。
- 申請時点でアイルランド国内に居住し、有効なStamp 2(学生)とIRPカードを保持していること
- アイルランドの認定教育機関でNFQ Level 8(オナーズ学士)またはLevel 9以上(修士・博士)を取得していること
- 最終試験結果の通知から6か月以内に申請すること
- 非EEA、非スイス、非英国の国籍であること
申請はアイルランド国内からのみ可能で、いったん帰国してから国外申請することはできません。語学学校(English Language Education)の修了者や、Level 7以下の資格取得者は対象外です。
Level 8とLevel 9で異なる滞在期間
Stamp 1Gの許可期間は取得した学位レベルによって異なります。
学位レベル | 初回許可 | 更新 | 合計上限 | Stamp 2+1G合算上限 |
|---|---|---|---|---|
Level 8(オナーズ学士) | 12か月 | なし | 12か月 | 7年 |
Level 9以上(修士・博士) | 12か月 | 12か月(1回) | 24か月 | 8年 |
Level 8の場合、Stamp 1Gは1回限りで更新できません。12か月以内に雇用許可(General Employment Permit や Critical Skills Employment Permit)に切り替えるか、上位資格を取得して2回目のTLGPを利用する必要があります。Level 9以上では2年目への更新が可能ですが、後述する「就労活動の証拠」を提出することが求められます。
また、TLGPは生涯に最大2回まで利用可能で、Level 8で取得後にLevel 9へ進学・修了した場合は再度Stamp 1Gを申請できます。ただし、アイルランドでの学生+卒業後滞在の累計は最大8年が上限です。
就労条件と制限
Stamp 1G保有者には、学生時代のStamp 2(週20時間、休暇中40時間)と比較してかなり広い就労権が与えられます。
- 雇用許可(Employment Permit)なしで、週最大40時間までフルタイム就労が可能
- 業種・職種に制限はなく、CSEPのような「Critical Skills」リスト外の仕事にも従事可能
- 雇用主はアイルランド国内に登録された企業であること
- 自営業(self-employment)や独立した事業運営は不可
- 公的扶助(社会福祉給付)の受給は原則不可
自営業ができない点は特に重要です。フリーランスや個人事業としてクライアントと直接契約することは認められず、必ず雇用契約に基づく勤務でなければなりません。なお、Stamp 1Gの滞在期間は将来の市民権・帰化申請における算入可能滞在期間(reckonable residence)として扱われます。
申請手順と必要書類
Stamp 1G申請の基本的な流れは次のとおりです。
- 最終試験結果の通知を大学から受領する
- 通知から6か月以内に申請を準備する
- 居住地に応じてオンラインまたは現地警察署(Garda Síochána)で登録
- 登録料 €300 を支払い、新しいIRPカードを受領
ダブリン、ミース、キルデア、ウィックロー、コーク、リムリックの各地域に居住する場合は、ISDのオンライン更新ポータルから申請します。それ以外の地域では、地元のGarda National Immigration Bureau(GNIB)登録事務所を通じて申請します。
必要書類のチェックリスト:
- 有効なパスポート
- 現在のIRPカード(Stamp 2)
- 大学からの最終成績証明書または学位取得確認レター(NFQ Levelが明記されたもの)
- 居住地証明(公共料金請求書、賃貸契約書など、過去6か月以内のもの)
- 民間医療保険の証書
- 登録料 €300 支払いの準備(クレジットカードまたはデビットカード)
2年目への更新(Level 9以上のみ)では、以下のような「就労または求職活動の証拠」も求められます。
- 雇用契約書や給与明細(既に就労している場合)
- 面接出席の記録
- 採用エージェンシーへの登録証明
- 応募メールの履歴
卒業後の雇用許可への移行
Stamp 1Gはあくまで一時的な許可で、12〜24か月の期間が終わる前にCritical Skills Employment Permit(CSEP)またはGeneral Employment Permit(GEP)へ移行することが標準的なルートです。2026年3月1日から最低年収基準が引き上げられました。
許可種別 | 通常最低年収(2026年3月以降) | 卒業生特例(卒業後12か月以内) |
|---|---|---|
Critical Skills Employment Permit(関連学位あり) | €40,904 | €36,848 |
Critical Skills Employment Permit(関連学位なし) | €68,911 | 適用なし |
General Employment Permit | €36,605 | €34,009 |
Intra-Company Transfer(ICT) | €49,523 | 適用なし |
卒業生特例の閾値は卒業後12か月以内に限られるため、Stamp 1Gの2年目に入った段階で12か月超となる場合は、通常の閾値が適用される可能性があります。Level 9卒業者でStamp 1Gを2年間使う計画であれば、なるべく1年目のうちに雇用許可へ切り替える方が条件面で有利です。
CSEP・GEPの申請手数料は最大2年で €1,000、6か月以下の短期は €500、長期更新は €1,500 です。申請が却下された場合は90%が返金されます。処理期間は通常4〜8週間で、最新の状況は Department of Enterprise, Trade and Employment(DETE)の公式サイトで確認できます。
CSEP保有者は21か月の勤務後にStamp 4(雇用許可不要の長期居住権)を申請でき、これがアイルランド永住への現実的なルートになります。
よくある落とし穴
- 6か月の申請期限を逃す:最終結果通知から6か月以内に申請しなければ資格を失います。卒業式や成績発表のタイミングを把握し、早めに動き出すことが重要です。
- Stamp 2が切れた状態での申請:申請時点で有効なStamp 2が必須です。学生ビザの満了日を確認しておきましょう。
- 語学学校卒業生の誤解:ELEプログラム修了者はStamp 1Gの対象外です。Level 8以上の学位プログラムでなければなりません。
- 自営業・フリーランス契約:Stamp 1Gでは認められません。違反は将来の許可申請に影響します。
- 2年目更新時の証拠不足:Level 9卒業生の更新には実質的な就労活動の証拠が必要で、形だけの応募履歴では認められない場合があります。
- 雇用許可の閾値の見落とし:2026年3月から年収基準が引き上げられたため、内定時の給与が新基準を満たすか必ず確認してください。2027年以降も毎年indexationにより調整される予定です。
よくある質問
Q:語学学校(英語コース)卒業後にStamp 1Gは取れますか?
A:取れません。Stamp 1GはNFQ Level 8以上の学位プログラム修了者が対象で、語学学校のELEコースは対象外です。
Q:Stamp 1Gの期間中に転職はできますか?
A:可能です。雇用許可と異なり、Stamp 1Gは特定の雇用主に紐づかないため、自由に転職できます。
Q:Stamp 1Gから直接Stamp 4を申請できますか?
A:通常はできません。CSEPを取得して21か月勤務後にStamp 4へ、もしくは配偶者・パートナー類型でStamp 1G上で5年経過後にStamp 4を申請する経路が一般的です。
Q:Level 8でStamp 1Gを使った後、Level 9に進学したら再申請できますか?
A:はい、TLGPは最大2回利用可能です。ただしアイルランドでの累計滞在は8年が上限です。
Q:申請中にアイルランド国外へ出ても大丈夫ですか?
A:申請プロセスはアイルランド国内で完結する必要があります。申請受理後の出国は可能ですが、新しいIRPカード発行までは控えることが推奨されます。
Q:CSEPの配偶者は働けますか?
A:CSEP保有者の配偶者・同居パートナーは到着と同時にStamp 1Gが付与され、雇用許可なしで就労できます。
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アイルランドで就労・生活する以上、職場や日常のコミュニケーションは英語が中心です。現地のニュースやドラマを教材にして実用的な英語力を磨きたい人には、Migakuのようなネイティブコンテンツ学習ツールが移住後の生活をスムーズにしてくれます。