STEM OPT延長の条件と申請手順を日本人向けに解説(2026年版)
最終更新日: 2026年5月22日

アメリカでSTEM分野の学位を取得したF-1学生は、通常12か月のpost-completion OPTに加え、さらに24か月の就労期間を得られる「STEM OPT延長」を申請できます。本記事では、2026年5月時点の連邦規則に基づき、対象条件、必要書類、申請手順、費用、注意点を整理します。
Last updated: May 22, 2026
STEM OPT延長とは何か
STEM OPT延長は、F-1ビザでpost-completion OPTを取得しているSTEM分野の学位保有者に対し、就労期間を追加24か月延長する制度です(USCIS)。通常のOPT 12か月と合わせると、最長36か月、米国内で実務経験を積めることになります。
H-1B抽選に通らなかった場合のバックアッププランとしても重要で、日本人エンジニア、データサイエンティスト、研究職志望者にとっては、米国でキャリアを継続するための事実上の生命線になっています。
延長は学位レベルごとに1回、生涯で最大2回まで利用可能です。たとえば学士でSTEM OPTを使った後、より上位の修士STEM学位を取得すれば、もう1回24か月の延長を申請できます。
申請者本人の条件
USCISおよびStudy in the Statesによれば、以下のすべてを満たす必要があります。
- 学位要件:SEVP認証校かつ米国教育省認定機関に認定された大学から、STEM分野の学士・修士・博士号を取得していること。
- 対象学位:DHS STEM Designated Degree Program List(CIPコードで定義)に含まれる学位であること。最新の追加は2024年7月23日のEnvironmental/Natural Resource Economics(CIPコード03.0204)。
- 現行OPTの有効性:post-completion OPTで有効なEAD(就労許可証)を保有していること。
- 過去学位を使う場合の期限:前のSTEM学位(学士以上)を使って延長申請する場合、その学位は申請時から過去10年以内に取得したものに限る。
- 猶予期間中の申請不可:初回post-completion OPT終了後の60日猶予期間中はSTEM OPT延長を申請できません。
雇用主に求められる条件
本人の条件を満たしても、雇用主側の要件を満たさないと申請は通りません。
- E-Verify登録済みであること。有効なE-Verify Company Identification Numberが必要です。
- Form I-983(Training Plan for STEM OPT Students)への署名:学生の業務内容、学位との関連性、監督体制、評価方法を雇用主と学生が共同で記入し、雇用主が宣誓署名します。
- 就労条件:週20時間以上の有給ポジションであること。ボランティア、無給インターン、自営業はSTEM OPTの要件を満たしません。
- 離職報告義務:学生が雇用を離れた場合、雇用主は5営業日以内にDSO(指定校職員)へ報告しなければなりません。
スタートアップで採用される場合、E-Verify未登録のケースが多いので、内定承諾前に必ず確認してください。
必要書類チェックリスト
申請パッケージには以下を揃えます。
- Form I-765(Application for Employment Authorization)
- Form I-983(雇用主と署名済みのTraining Plan)
- 新しいI-20(DSOがSTEM OPT推薦を記載したもの)
- 現在のEADカードのコピー(表裏)
- 過去のEADすべてのコピー
- I-94記録
- パスポート顔写真ページ、F-1ビザ、最新の入国スタンプのコピー
- STEM学位の卒業証書または公式成績証明書
- 米国式パスポート写真2枚(紙申請の場合)
- 申請料の支払い
I-983はUSCISに直接提出するのではなく、学校のDSOに提出し、DSOがSEVISに推薦を入力した上で新しいI-20を発行します。
申請手順とタイミング
タイミングを外すと申請自体が無効になるため、以下の順序を厳守してください。
- 雇用主と協議:内定先がE-Verify登録済みか、I-983に署名する意思があるか確認。
- I-983作成:学生と雇用主で業務内容、学習目標、監督者情報、評価方法を記入。
- DSOへ提出:完成したI-983をDSOに提出し、SEVISへの推薦入力を依頼。
- 新I-20受領:STEM OPT推薦が記載されたI-20を受け取る。
- I-765提出:DSOが推薦をSEVISに入力してから60日以内、かつ現行OPT EADの有効期限の90日前から提出可能。
- 受領通知(I-797C)の保管:USCISからの受領通知は、現行EAD失効後の自動延長を証明する書類として雇用主に提示します。
初回OPTのタイミングについてはOPT申請タイミングと注意点も参考にしてください。
申請料と処理期間
2026年5月時点の費用は以下のとおりです。
項目 | 金額(USD) |
|---|---|
Form I-765 オンライン申請 | $470 |
Form I-765 紙申請 | $520 |
Premium Processing(Form I-907、2026年3月1日以降) | $1,780 |
オンライン+Premium Processing合計 | $2,250 |
Premium ProcessingはI-765のSTEM OPT申請について、30営業日以内に承認・却下・追加証拠請求(RFE)・拒否予告のいずれかのadjudicative actionを保証します。通常処理の場合、USCISが公表する処理時間は約100日です。
期限内に申請していれば、現行OPT EADが審査中に失効しても、最大180日間の自動就労延長が認められます。USCISが判断を下した時点で自動延長は終了します。
在留中の義務(承認後)
承認されてからが本番です。違反すると将来の他ビザ取得に影響します。
- 6か月ごとのDSO報告:氏名、住所、雇用主名、雇用ステータスの最新化を確認します。
- I-983のEvaluation:12か月目と24か月目(終了時)に自己評価を提出。
- 重要変更の10日以内の報告:雇用主変更、業務内容の大幅変更、住所変更などはDSOへ10日以内に通知。
- 失業日数の管理:post-completion OPTで90日、STEM OPT延長中に追加60日、合計最大150日まで。これを超えるとF-1ステータスを失います。
- 転職時:新雇用主と新しいI-983を作成し、DSOに提出してから就労開始。
よくある落とし穴
- CIPコードの確認漏れ:自分の学位のCIPコードがDHSリストに含まれているかI-20で確認していない。
- E-Verify未登録の雇用主に内定承諾:申請自体が成立しない。
- 60日ルールの誤解:DSOの推薦入力から60日以内にI-765を出さないと却下対象。
- 無給ポジション:研究室の無給ポジションや起業初期の無給労働は不可。
- 失業日数の累計を忘れる:転職活動中に150日を超えると遡って違反になる。
- I-983のEvaluation提出忘れ:12か月目の自己評価は学生本人の責任。提出しないとステータスに影響します。
よくある質問
Q. 申請中に転職してもよいですか?
A. 自動延長の180日間中も含め、新雇用主は引き続きE-Verify登録済みで、新しいI-983を作成・提出する必要があります。
Q. リモートワークは認められますか?
A. 雇用主と学生の間に正規の雇用関係があり、I-983に記載された監督体制が機能していれば可能です。雇用主の物理的所在地や監督者の勤務地によりDSOの判断が分かれるため、事前確認が必須です。
Q. 自分で会社を立ち上げて自営業として申請できますか?
A. できません。STEM OPTは雇用主との真正な雇用関係を前提とし、雇用主がI-983に署名する必要があります。
Q. 修士号を別のSTEM分野で取り直すと、もう一度24か月延長できますか?
A. はい。より上位の学位(例:学士の次に修士、修士の次に博士)であれば、追加で1回、合計2回まで利用できます。
Q. 米国外への一時帰国は可能ですか?
A. 有効なEAD、新しいI-20(DSOの travel signature付き)、有効なF-1ビザ、雇用証明書類があれば再入国可能です。EAD未着で出国するとリスクが高まります。
米国でのキャリア構築を考えるなら、現地で長く働く日本人の事例として海外で働く日本人のキャリア、また欧州ルートの選択肢としてアイルランド永住権取得ルートも比較検討の参考になります。
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