Ancestry Visaとは?祖父母がイギリス系の日本人向け5年ビザ
最終更新日: 2026年5月30日

UK Ancestry Visaは、Commonwealth市民である申請者で、祖父母のいずれかがイギリス本土・チャネル諸島・マン島で生まれた場合に取得できる5年間の就労可能ビザです。日本国籍者は原則Commonwealth市民ではないため対象外ですが、二重国籍などで該当する場合に限り利用できます。本記事では2026年4月以降の最新ルールに基づき、祖父母がイギリス系の方が知っておくべき条件と手続きを整理します。
Last updated: May 30, 2026
まず確認すべき大前提:日本国籍だけでは申請できない
UK Ancestry Visaは「Commonwealth市民」に開かれた制度であり、日本のパスポートのみを保有する方は申請資格を満たしません。Home Officeが定める申請可能な国籍は以下の通りです(2026年時点)。
- Commonwealth諸国の市民(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、南アフリカなど)
- British Overseas citizens
- British Overseas Territories citizens
- British National (Overseas)
- ジンバブエ市民
したがって、日本生まれの方が本ビザを使うケースは、典型的には以下のいずれかに該当します。
- 日本とCommonwealth諸国の二重国籍を保有している
- 過去にCommonwealth諸国の国籍を取得し、その旅券で申請する
- BN(O)など英国系の特殊な国籍ステータスを保有している
「祖父母がイギリス人」であっても、申請者自身の国籍が日本のみであれば本ルートは利用できず、Skilled Worker visaやFamily visaなど別の経路を検討する必要があります。
祖父母要件の詳細
本ビザの中核は「祖父母のいずれか1人が英国系の出生地である」ことです。条件は厳格に運用されています。
- 祖父母の出生地が、英国本土、チャネル諸島、マン島であること
- または1922年3月31日以前のアイルランドでの出生
- または英国登録の船舶・航空機上での出生
- 曾祖父母(great-grandparent)以前の祖先では資格を満たさない
- 義理の祖父母(再婚相手など血縁のない祖父母)は不可
- 法的に認められた養子縁組による祖父母関係は有効
申請者は17歳以上である必要があり、渡英後に就労する意思と能力を示すこと、公的資金(public funds)に頼らず自分と家族を扶養できることも条件となります。固定の最低収入額は設定されていませんが、貯蓄や就労オファーなどで生活可能性を裏付ける資料は重要です。
必要書類のチェックリスト
申請には祖父母との血縁関係を文書で完全に追えるよう、3世代分の出生・婚姻記録を揃える必要があります。
- 申請者本人の有効なパスポート(Commonwealth等の対象国籍)
- 申請者の出生証明書
- 申請者の両親(祖父母とつながる側)の出生証明書
- 該当する祖父母の出生証明書(英国内の登録地で発行されたもの)
- 両親と祖父母を結ぶ婚姻証明書(姓の変更がある場合)
- 養子縁組がある場合は法的養子縁組証明書
- 就労意思と就労能力を示す資料(職歴、求人応募記録、雇用オファーなど)
- 資金証明(銀行残高証明、給与明細など)
- 結核(TB)検査証明書(対象国に6ヶ月以上滞在歴がある場合、発行から6ヶ月以内有効)
- 滞在予定の住居に関する情報
書類が外国語の場合は認定翻訳が必要です。General Register Office(イングランド・ウェールズ)、National Records of Scotland、General Register Office for Northern Irelandから祖父母の出生証明書を取り寄せる作業は数週間かかることがあるため、早めに着手してください。
2026年4月以降の費用一覧
Home Officeは2026年4月8日に年次料金改定を行いました。現行の主要料金は以下の通りです。
項目 | 金額(2026年4月8日以降) |
|---|---|
入国前申請料(entry clearance) | £726 |
Immigration Health Surcharge(成人、年額) | £1,035 |
IHS(18歳未満、年額) | £776 |
5年分IHS前払い(成人) | £5,175 |
成人申請者の初期総費用 | £5,901 |
18歳未満扶養家族の初期総費用 | £4,606 |
優先サービス(Priority Service) | 追加 £500 |
在英延長 FLR(IR) | £1,407 |
永住権 SET(O) | £3,226 |
Life in the UK test(1回) | £50 |
帰化申請料 | £1,709 |
料金は今後も改定される可能性があるため、申請前に必ずGOV.UK公式ページ(https://www.gov.uk/ancestry-visa)で最新版を確認してください。
申請の流れと処理期間
申請は渡英予定日の最早3か月前から行えます。手順は次の通りです。
- GOV.UKのオンラインフォームで申請を作成・送信
- 申請料とIHSを支払う
- 居住国のVFS Global等のビザセンターで生体認証(指紋・顔写真)を提出
- 必要書類をアップロードまたは持参
- 結果通知を待つ
英国外からの標準処理期間は3週間以内が目安です。優先サービスを追加すれば5営業日以内の決定が見込めます。在英延長申請(FLR(IR))の場合は通常8週間以内の処理となります。
2026年からは物理的なBRPカードは発行されず、滞在許可はUKVI Account上のデジタルeVisaで管理されます。雇用主や賃貸オーナーへの在留資格証明は「share code」を発行して共有する形式に統一されました。
5年後の永住権(ILR)取得まで
Ancestry Visaの大きな利点は、5年間の継続滞在を経てIndefinite Leave to Remain(ILR、永住権)を申請できる点です。ILRの主な要件は以下の通りです。
- 5年間でいずれの12ヶ月期間においても英国外滞在が180日を超えないこと
- Life in the UK testに合格していること
- 英語能力(CEFR B1相当)を証明すること
- 申請時点で就労中、または英国で生計を立てている証拠があること
- 重大な犯罪歴がないこと
ILR取得後さらに12ヶ月経過すると、British citizenship(帰化)の申請が可能です(婚姻による短縮ルートを除く)。
なお、2025年11月から2026年2月にかけてHome Officeが実施した "Earned Settlement" 公開協議では、永住権取得までの期間を10年に延長する案が議論されました。2026年5月時点では従来の5年ルートが引き続き適用されていますが、今後の議会審議で制度変更が起こる可能性があるため、最新情報の確認は重要です。
よくある落とし穴
- 祖父母の出生証明書が見つからない:英国の公式登録機関から取り寄せる必要があります。教会の洗礼記録などでは原則代用できません。
- アイルランド出身の祖父母:1922年3月31日以前の出生のみ有効。それ以降のアイルランド共和国出生は対象外です。
- 国籍要件の誤解:日本国籍のみでは申請不可。Commonwealth市民権の有無を最初に確認してください。
- 就労意思の証明不足:「英国で働く意思がある」ことを書面で示す必要があります。求人応募の記録や履歴書も用意しておくと安心です。
- TB検査の対象国判定:日本に居住している場合でも、過去6ヶ月の滞在国によっては検査が必要になることがあります。
- eVisaへの移行:BRPカードを期待せず、UKVI Accountの作成・管理を確実に行ってください。
FAQ
Q. 祖父母が英国生まれだが、両親はそうでない場合も申請できますか?
A. はい。両親の出生地は関係ありません。祖父母の出生地が要件を満たしていれば申請可能です。
Q. 配偶者や子どもは帯同できますか?
A. はい。Ancestry Visa保持者の配偶者・パートナー、18歳未満の子どもはdependantとして同行・参加できます。費用と書類は別途必要です。詳細はFamily Visaでの家族帯同手続きも参照してください。
Q. 5年の間に転職や独立は可能ですか?
A. 可能です。Ancestry Visaは就労内容や雇用主に制限がなく、自営業も認められています。
Q. ILRまでに英国外に滞在できる日数は?
A. 5年間の中で、いずれの連続する12ヶ月でも180日を超えてはいけません。長期出張や一時帰国の合計に注意が必要です。
Q. 渡英後の住居や医療はどう準備すれば?
A. ロンドン中心部の家賃相場はロンドンの高級住宅街の家賃事情を、医療面ではロンドンの日本語対応医師・病院を参考にしてください。
イギリスでの長期生活では、現地ニュースや業界の英語表現に慣れることが仕事と生活の質を大きく左右します。実際の英国メディアを教材化して語彙を増やしたい方は、try Migaku を検討してみてください。