シンガポール駐在で子連れ家族が選ぶインター校とローカル校の違い
最終更新日: 2026年5月25日

シンガポールに駐在する子連れ家族の教育選択は、大きく分けて国際学校(インター校)とMOE(教育省)管轄のローカル校の2系統があります。学費、入学要件、ビザ、カリキュラム、いずれも条件が大きく異なるため、赴任前の段階で家族の滞在年数や子どもの年齢に合わせて比較検討することが欠かせません。
Last updated: May 25, 2026
インター校とローカル校、まず押さえる構造的な違い
シンガポールの教育制度は、学校の運営主体によって入学のしやすさも費用も大きく変わります。駐在家族が現実的に選べるのは次の3カテゴリです。
- 国際学校(インター校):IB、英国式、米国式、日本人学校など。Student's PassまたはDependant's Pass(DP)で在学可能
- MOEローカル校(政府・政府助成校):シンガポール市民(SC)、永住権(PR)、国際学生(IS)が対象。ISは原則AEIS/S-AEIS試験を経て入学
- 私立校・ホームスクール系:選択肢は限られ、駐在世帯では少数派
インター校はカリキュラムや言語環境の選択肢が広く、転校時の互換性も高いのが特徴です。一方ローカル校は学費が圧倒的に安く、英語と中国語のバイリンガル環境に長期で身を置けます。
ローカル校(MOE)の学費と入学要件
MOEの政府・政府助成校では、児童の在留資格によって学費が階層化されています。2024年から2026年にかけてPR・IS(International Student)の学費は毎年段階的に引き上げられており、2026年1月施行の最新水準は以下の通りです(中学校レベル、月額)。
区分 | 中学校月額学費(2026年) |
|---|---|
シンガポール市民(SC) | S$5 |
永住権(PR) | S$680 |
ASEAN圏国際学生 | S$1,090 |
非ASEAN圏国際学生 | S$2,190 |
国際学生・PRの学費にはGSTが含まれます。SCとPRはGST分がMOEにより補助されます。
国際学生がMOE校に入る場合、AEIS(Admissions Exercise for International Students)またはS-AEISの受験が必要です。
- AEIS 2026:申請開始は2026年7月、試験は2026年9月、合格者は2027年1月入学。対象は小2~小5、中1~中3
- S-AEIS 2026:申請期間は2026年1月9日午前9時~1月15日午後4時30分、試験は2026年3月2日~6日。合否閲覧は4月24日午前8時30分~4月28日午後5時、合格者は4月または5月入学
- 小学校レベルの出願にはCambridge English Qualifications(CEQ)の合格スコアが必須で、申請の12か月前以降に取得した結果が要求されます
AEISの合格率は例年10~20%程度と発表されており、競争は厳しいのが実情です。希望する学校・学年を指定できず、MOEが空き枠に応じて配置する点も家族側で覚悟しておく必要があります。
インター校の学費と申請プロセス
国際学校の年間学費は2026年時点でおおむねS$25,000~S$50,000が中心帯、プレミアム校ではS$55,000を超えます。学費以外にも以下の付随費用が発生します。
- 出願料:S$200~S$4,500
- 入学金・登録料・デポジット合計:平均約S$3,400
- Capital Levy(施設資金):UWCSEAは家族当たりS$6,000、SAS(Singapore American School)は生徒1人当たり約S$8,500
Student's Passを発行できるのはEduTrust認証校に限られます。正式オファー後にICA(移民・関所庁)のe-Serviceでオンライン申請しますが、Dependant's PassまたはLong-Term Visit Pass(LTVP)保有の子どもは、フルタイムの非宗教系学習にStudent's Passは不要です。
駐在家族のビザと家族帯同の条件
子連れ駐在で最初に確認すべきは、就労する親のEmployment Pass(EP)が家族帯同の資格給与を満たしているかです。
- 現行EP最低資格給与(2025年1月1日施行):月S$5,600(一般業種)、S$6,200(金融業)
- 2027年1月1日からの引き上げ予定:月S$6,000(一般業種)、S$6,600(金融業)
- Dependant's Pass取得の条件:スポンサー(EPまたはSパス保持者)の固定月収S$6,000以上
- DPの処理期間:オンライン申請で通常3週間以内、手動申請で通常6週間以内
注意点として、2021年5月1日以降に発行された新規DPでは、Letter of Consent(LOC)による配偶者の就労は廃止されました(一部EntrePass事業主ケースを除く)。また、DPで帯同している子どもは21歳の誕生日で家族要件としての更新ができなくなり、離星か自前の労働パス取得、Student's Passへの切替が必要になります。
12歳以下の外国出生のStudent's Pass申請者は、2019年2月1日以降Communicable Diseases Agency(CDA)にワクチン接種情報の提出が求められます。
手続き全体の流れや必要書類については、海外での学生ビザ申請手続きも参考にしてください。
就学前児童:保育・幼稚園と補助金
未就学児を連れて赴任する場合、ECDA(Early Childhood Development Agency)管轄のチャイルドケアセンターや幼稚園を利用するのが一般的です。
- 2026年1月以降のフルデイチャイルドケア料金上限:Anchor OperatorはS$610/月、Partner OperatorはS$650/月(2025年比S$30減)
- ECDA基本補助金:SC児童が対象。ワーキングマザーの場合、乳児ケアS$600/月、チャイルドケアS$300/月。非就労マザーは双方S$150/月
- 追加補助金(Additional Subsidy):世帯月収S$12,000以下またはPCI(1人当たり所得)S$3,000以下が条件、フルデイチャイルドケアで最大S$467/月
- 2024年12月9日以降、SC児童で世帯月収S$6,000以下またはPCI S$1,500以下の場合、母親の就労状況に関わらずフル補助金対象
- Budget 2026により、2027年1月から追加補助金の所得上限を世帯月収S$15,000、PCI S$3,400に引き上げ予定
- KiFAS(幼稚園助成スキーム、MSF運営):世帯月収S$6,000以下が対象、K1/K2幼稚園料金に最大S$150/月補助
なお、これらの補助金はSC児童を主対象とした制度であり、DP保有の外国籍児童には原則適用されません。ワーキングマザーの定義は月56時間以上の就労(フルタイム、パートタイム、フリーランス含む)です。
書類チェックリストと申請ステップ
インター校・ローカル校いずれの場合も、以下の書類は早期に準備しておくとスムーズです。
- 子どものパスポート、出生証明書(英訳または公証付き)
- 過去2~3年分の成績証明書、英文の在学証明書
- 予防接種記録(CDA提出用にWHO標準フォーマット推奨)
- 親のEP写し、雇用契約書、固定月収を示す書類
- 健康診断書、アレルギー・既往歴の英文サマリー
- インター校:教員推薦状、英語力証明、面接・診断テスト結果
- MOE校:AEIS/S-AEIS申請書、CEQ合格スコア(小学校レベル)
Student's Pass申請は、コース開始の2~3か月前にICAのe-Serviceで提出します。インター校は学校側がe-FormのSOLAR申請を代行することが多いため、オファー受領後の指示に従ってください。
よくある質問
Q. 駐在で2~3年だけ滞在する予定。インター校とローカル校どちらが現実的?
短期駐在ではインター校が一般的です。MOE校は学年指定ができず、AEIS合格まで時間がかかり、合格率も限定的なため、滞在期間に対するリスクが大きくなります。
Q. 配偶者がDPで就労したい場合は?
2021年5月以降のDP保持者へのLOC就労は廃止されています。就労にはEPやSパスなど独自の労働パスが必要です。
Q. 子どもが21歳になったらどうなる?
DPは21歳の誕生日で家族要件としての更新ができなくなります。離星、自前の労働パス取得、またはStudent's Passへの切替が必要です。
Q. インター校以外の学費水準を比較したい
生活費全体の構造を把握すると判断しやすくなります。海外都市の生活費比較ガイドで他都市との比較の考え方を確認できます。
Q. 配偶者が現地就職を視野に入れている場合
日系企業の駐在員配偶者向け求人も一定数あります。シンガポール日系企業の求人情報に概要をまとめています。
よくある落とし穴
- インター校の出願料・登録料・Capital Levyを学費に含めずに予算を組み、年間総額が想定を大きく超えるケース
- DP申請でスポンサーの固定月収S$6,000要件を満たさず、家族帯同が遅延する
- 小学校レベルのAEIS出願でCEQ未受験のまま締切を迎える
- ローカル校でPR→ISへ区分が変わると月額学費が大幅に上がる点を見落とす
- 12歳以下の予防接種記録未提出でStudent's Pass発行が滞る
- 2027年1月のEP資格給与引き上げにより、更新時に家族帯同要件を満たせなくなる可能性
料金、所得基準、パス要件は予算発表や省令で随時更新されます。出願や赴任のタイミング直前に、MOE、ICA、MOM、ECDAの各公式ページで最新値を必ず再確認してください。
シンガポール生活で子どもの英語環境は整いやすい一方、家族の中国語や現地表現に触れる時間は意識しないと作れません。現地の動画やニュースを使って語学を続けたい家庭には、ネイティブコンテンツで学べるMigakuが役立ちます。try Migaku。