イギリスSpouse Visaの収入要件と必要書類、年収£29,000を超える方法
最終更新日: 2026年5月25日

イギリスのSpouse Visa(配偶者ビザ)を取得するには、スポンサーであるイギリス市民・定住者の年収が£29,000以上であることを示す必要があります。これは2024年4月11日以降の新規申請に適用される基準で、2026年5月時点でも据え置かれています。
Last updated: May 25, 2026
収入要件£29,000の基本ルール
Spouse Visaの最低収入要件(Minimum Income Requirement、略してMIR)は、Appendix FMという家族移民ルールに基づきます。2012年7月から2024年4月までは£18,600で固定されていましたが、2024年4月11日に£29,000へ引き上げられました。
注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 2024年4月11日より前に最初に申請した人は、経過措置として旧基準£18,600のまま延長申請やILR(無期限滞在許可)申請を続けられます。
- 子供を扶養家族として追加する場合の上乗せ収入要件は廃止されました。£29,000を満たせば子供分の追加収入は不要です。
- スポンサーがPIP、DLA、Armed Forces Independence Paymentなど特定の障害給付を受給している場合、MIRは免除され、代わりにAdequate Maintenance Test(生活維持基準)が適用されます。
Migration Advisory Committee(MAC)は2025年6月10日に「Family Route: Financial Requirements Review」を公表し、£29,000を£23,000~£25,000のレンジに引き下げることを推奨しました。ただし2026年5月25日時点で政府は引き下げを実施していません。当面は£29,000で準備するのが安全です。
収入を証明する方法と組み合わせ
GOV.UKおよびAppendix FM-SEに定められた収入カテゴリは複数あり、複数を組み合わせることもできます。主なものは次のとおりです。
- カテゴリA・B: スポンサー(または英国内で合法的に就労中の申請者)の雇用収入
- カテゴリC: 投資・株式・不動産賃料などの非雇用収入
- カテゴリD: 預貯金
- カテゴリE: 年金収入
- カテゴリF・G: 自営業・役員報酬
国外から申請する場合、原則としてスポンサーの雇用収入が中心になります。申請者(外国人配偶者)の収入を合算できるのは、申請者がすでに英国内で合法的に就労している場合に限られます。日本から渡英する典型的なケースでは、申請者の日本での給与は計算に入れられません。
預貯金で年収不足を補う計算式
年収が£29,000に届かない場合、預貯金で補うことができます。これはSpouse Visaを取得する重要なルートで、計算式は明確に決まっています。
- 預貯金のみで要件を満たす場合の必要額: £88,500
- 年収との組み合わせ計算式: (年収不足額 × 2.5)+ £16,000
- 預貯金は申請者またはスポンサー名義で、申請日前6か月以上連続して保有していること
例として、スポンサーの年収が£20,000の場合、不足額は£9,000です。これを式に当てはめると、£9,000 × 2.5 + £16,000 = £38,500の預貯金が必要になります。
投資口座の資金を預貯金として使う場合は、申請の6か月以上前に現金化して銀行口座に移しておく必要があります。直前の振替は認められません。
必要書類チェックリスト
書類はAppendix FM-SEの規定に厳密に従わなければなりません。1つでも不備があると不許可リスクが高まります。
スポンサーの雇用収入を証明する場合(過去6か月以上同一雇用主の場合)
- 過去6か月分の給与明細(原本またはオンライン明細に雇用主の捺印)
- 過去6か月分の銀行取引明細(給与振込が確認できるもの)
- 雇用主からのレター(在職証明、年収、雇用形態、勤続期間を明記)
- 雇用契約書
- 最新のP60(任意だが推奨)
預貯金を使う場合
- 過去6か月分の銀行・建設組合の取引明細
- 残高が£16,000を継続して下回っていないことの証明
- 資金の出所説明(高額入金がある場合)
関係性・同居の証明
- 婚姻証明書(日本で結婚した場合は戸籍謄本+認証翻訳)
- 同居・関係継続の証拠(共同名義のリース、公共料金、写真、通信記録など)
- スポンサーのパスポートまたはBRP(英国市民の場合はパスポート)
住居・英語要件
- 渡英後の住居の証明(リース契約、家主からのレター等)
- 英語能力証明(初回申請はA1レベル、SELT認定試験の合格証)
申請料・IHS・処理期間(2026年版)
2026年4月8日に手数料が改定されました。
項目 | 金額(2026年) |
|---|---|
国外申請(エントリークリアランス) | £2,064 |
国内申請(FLR(M)等) | £1,407 |
ILR申請 | £3,226 |
Naturalisation(英国籍取得) | £1,709 |
IHS(大人・年額) | £1,035 |
IHS(子供・学生・年額) | £776 |
初回ビザは2年9か月(33か月)の滞在許可で、IHS合計は£3,105です。国外からの初回申請の合計は申請料+IHSで約£5,169になります。延長(FLR(M)、30か月)のIHSは£2,587.50です。
処理期間の目安
- 国外申請(settlement): 98.5%が12週間以内、100%が24週間以内に決定
- 国内申請: 標準処理は8週間
- 国外Priority Service: 約£500追加、目安30営業日
- 国内Super Priority Service: 追加£1,000で翌営業日決定
申請料の支払いが困難な場合は、Appendix FMルートでfee waiver(手数料免除)を申請できる可能性があります。
年収£29,000を超えるための実務的な方法
スポンサーの収入が£29,000に届かない場合、現実的な選択肢は次のとおりです。
- 昇給または転職: 申請前に£29,000以上の雇用契約を6か月以上維持する(カテゴリA)。年俸ベースで£29,000を超えていれば、勤続6か月未満でも過去12か月の収入で評価するカテゴリBが使えます。
- 副業の活用: 給与所得+自営業収入の組み合わせ。ただし自営業はカテゴリF・Gの厳しい証明書類が必要で、確定申告書(SA302)、HMRCの納税証明、事業用銀行口座明細などを揃えます。
- 預貯金で補填: 上述の(不足額×2.5)+£16,000の式で計算した金額を6か月以上保有。日本円資産を英ポンドに換算する場合は、Spot Exchange Rateを使います。
- 配当・賃料収入の追加: スポンサーが法人役員で配当を取っている場合や、賃貸物件を保有している場合はカテゴリCで合算可能。
- 配偶者の英国内就労後に申請: 申請者がすでに別のビザ(例:Skilled Worker、Graduate Route)で英国内に滞在し合法就労している場合、両者の収入を合算できます。
なお、申請者がすでに英国にいる場合、Skilled WorkerやGraduate Routeから配偶者ビザへ切り替える(switch in-country)選択肢もあります。関連する就労ビザの仕組みはSkilled Worker Visaのスポンサー企業探しやGraduate Routeビザと就職制度で確認できます。学生ルートから入る場合はイギリスStudent Visaの申請方法もあわせて参照してください。
よくある落とし穴
- 給与明細と銀行明細の数字が一致しない: 給与額面と振込額がずれている、振込日が翌月にまたがっている等で却下される事例が多いです。両者を必ず突き合わせます。
- 預貯金の保有期間が6か月未満: 直前に親族から振り込まれた資金は認められません。
- 雇用主レターの記載漏れ: 年収、雇用形態、勤続期間、職位、無期雇用か否か、レターの発行日、署名者の役職と連絡先のすべてが必要です。
- 英語試験のレベル間違い: 初回はA1、延長時はA2、ILR時はB1です。Home Office承認のSELT試験(IELTS for UKVI等)以外は無効です。
- 婚姻書類の翻訳不備: 日本の戸籍謄本は認証翻訳(certified translation)が必要で、翻訳者名・連絡先・日付・「正確な翻訳である」旨の宣誓文を含めます。
- 将来の£38,700引き上げの噂に振り回される: 2025年にMACは引き上げに反対しました。2026年5月時点で£29,000が維持されています。最新情報はGOV.UKで確認します。
FAQ
Q. 申請者(日本人)の日本での給与は収入要件に算入できますか?
A. 国外から申請する場合は不可です。スポンサー(英国市民・定住者)の収入のみが対象になります。申請者の収入が使えるのは、申請者がすでに英国内で合法的に就労している場合に限られます。
Q. £29,000は税込ですか税抜きですか?
A. 税込(gross)年収です。P60やSA302で確認される総額で判定されます。
Q. 預貯金は誰の名義でもよいですか?
A. 申請者、スポンサー、または両者の共同名義の口座が認められます。第三者(親など)からの贈与の場合は、6か月以上前に申請者・スポンサー名義の口座に移しておく必要があります。
Q. 初回ビザの有効期間は?
A. 国外申請の場合、入国予定日から2年9か月(33か月)の滞在許可が付与されます。5年ルートで延長を経てILRに到達します。
Q. 不許可になった場合、再申請までの期間制限はありますか?
A. 法律上の制限はありませんが、同じ不備を残したまま再申請しても同じ結果になります。Administrative Reviewまたは新規申請のどちらが適切か、不許可理由書を精読して判断します。
Q. 2026年中に£29,000が引き下げられる可能性は?
A. MACは£23,000~£25,000を推奨していますが、2026年5月25日時点で政府は方針を示していません。当面は£29,000で準備するのが安全です。最新動向はGOV.UKで定期的に確認してください。
イギリスでの新生活では、配偶者の家族・職場・地域コミュニティとの会話に英語力が直結します。日常会話レベルから実務で使える英語まで、現地の動画やニュースを教材化して学べるMigakuは、渡英前後の英語準備に向いています。