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L-1ビザで駐在するための条件と家族帯同の注意点(2026年版)

最終更新日: 2026年5月27日

L-1ビザで駐在するための条件と家族帯同の注意点(2026年版)

L-1ビザは、日本本社から米国の関連会社へ駐在員を派遣する際に最も使われる非移民ビザです。本記事では、2026年時点の申請条件、必要書類、費用、処理期間、そして家族帯同(L-2)に関する実務上の注意点を、駐在内示を受けた方やHR担当者向けに整理します。

Last updated: May 27, 2026

L-1ビザの基本と2つの区分

L-1ビザは多国籍企業内転勤者用の非移民ビザで、米国移民法上「L-1A」と「L-1B」の2区分に分かれます。USCIS(米国市民権・移民業務局)が請願書を審査し、その後に在日米国大使館・領事館でビザスタンプを取得する2段階構造です。

区分

対象

最長滞在期間

L-1A
経営管理職・幹部(Executive / Manager)
通算7年
L-1B
特殊技能職(Specialized Knowledge)
通算5年

L-1Aは将来的に永住権(EB-1C)への切り替え経路として使われることが多く、L-1Bは技術・ノウハウを米国法人に移転する目的で利用されます。なお、米国に新規拠点を立ち上げる「New Office L-1A」の場合、初回は1年間のみ滞在許可が下り、1年後の事業実態を証明できれば2年ごとに延長可能です。

申請者本人の資格要件

駐在員候補者は次の条件を満たす必要があります。

  • 申請直前の3年以内に、最低1年以上、海外の関連会社で経営管理職・管理職または特殊技能職として継続勤務していたこと
  • 米国法人と日本法人の間に有効な「適格関係」(親会社・子会社・支社・関連会社)が存在すること
  • 両法人が実態として「事業を行っている」(doing business)こと
  • 米国でも、海外勤務時と同等またはそれ以上の管理職・幹部・特殊技能ポジションに就くこと

USCISは2024年以降、適格関係と「doing business」の証拠(組織図、株式保有関係、財務諸表、顧客との取引実績)について審査を厳格化しています。書類は形式だけでなく、実体の説明が不可欠です。

必要書類チェックリスト

会社側で準備する主な書類は次のとおりです。

  • Form I-129(個別申請)または Form I-129S(ブランケットL)
  • 会社支援レター(Support Letter、職務内容・経歴・組織内ポジションを詳述)
  • 米国法人と日本法人の適格関係を示す資料(株主名簿、登記簿、組織図)
  • 両社の事業実態証拠(決算書、納税申告書、賃貸契約書、顧客取引資料)
  • 米国でのポジション説明書および組織図(管理職の場合は部下構成、特殊技能職の場合は技能の専門性)

申請者本人が用意する書類

  • 有効なパスポート(米国滞在予定期間+6ヶ月以上の残存期間)
  • 履歴書、学歴・職歴証明書
  • 過去3年間の在籍証明・雇用契約書・給与明細
  • 家族帯同の場合、婚姻証明書(戸籍謄本の翻訳)、子の出生証明書
  • DS-160(オンライン非移民ビザ申請書)

申請ステップ

  1. 米国法人がUSCISへI-129請願を提出:個別申請の場合、申請費用は雇用主が負担します。ブランケットL承認済みの企業はI-129Sで簡素化された手続きが可能です。
  2. USCISによる審査:標準処理で通常2〜8ヶ月。プレミアム処理(Form I-907、$2,965)を利用すれば15営業日以内に判断(承認・否認・追加証拠要求のいずれか)が出ます。プレミアム処理手数料は2026年3月1日付で$2,805から$2,965に引き上げられました。
  3. I-797承認通知の受領:承認後、申請者は在日米国大使館(東京)または那覇領事館でビザ面接を予約します。
  4. DS-160提出・面接予約:MRV料$205を支払い、面接日を確保します。雇用開始日の90日前から申請受付可能です。
  5. 面接・ビザスタンプ取得:パスポートに貼付されたビザは、I-797またはI-129S記載の雇用開始日の10日前から使用可能です。
  6. 米国入国:入国時にI-94入国記録手数料$24が課されます。

費用の全体像(2026年)

標準雇用主(従業員26名以上の営利企業)が初回L-1個別申請をする場合の主な手数料は次のとおりです。

項目

金額

備考

Form I-129 基本申請料
$1,385
25名以下の小規模雇用主・非営利は$695
Asylum Program Fee
$600
小規模$300、非営利免除
Fraud Prevention and Detection Fee
$500
初回申請と雇用主変更のみ。延長は不要
プレミアム処理(任意)
$2,965
15営業日以内の判断
DS-160(MRV)
$205
申請者本人が支払う
Visa Integrity Fee
$250
2025〜2026年に新設、ビザ発給時に課税
I-94入国記録手数料
$24
入国地点で徴収

USCIS政府手数料の合計目安:

  • プレミアム処理なし:$2,485
  • プレミアム処理あり:$5,450
  • Public Law 114-113適用時(米国従業員50名以上かつ過半数がH-1B/L-1の場合、$4,500の追加課金):最大$9,950

延長申請では$500の不正防止手数料が不要となるため、標準雇用主の延長時USCIS政府手数料は$1,985に下がります。延長はI-94期限の45〜180日前に提出することが推奨されます。

家族帯同(L-2ビザ)の注意点

配偶者および21歳未満の未婚の子は、L-2ビザで同行できます。実務上、特に注意すべきポイントを整理します。

  • L-2配偶者の就労:米国入国後のI-94に「L-2S」と記載されていれば、別途就労許可(EAD)を申請することなく米国内で就労可能です。記載漏れの場合はCBPに修正を依頼する必要があります。
  • 婚姻・親子関係の証明:日本の戸籍謄本だけでは不十分で、英訳と翻訳証明書(Certificate of Translation)の添付が必要です。事実婚は認められません。
  • 子の年齢制限:21歳に達した時点でL-2資格を喪失します。大学進学が見込まれる場合はF-1学生ビザへの切替を事前に検討してください。
  • 子の就学:L-2の子は公立・私立の小中高に通学可能。州により学区登録の必要書類(予防接種記録、英訳出生証明書)が異なります。
  • 健康保険:L-2には公的保険がないため、駐在員パッケージに帯同家族分の民間保険を含めることが必須です。
  • 配偶者ビザの面接同席:本人と同じ面接日に同行することで効率化できますが、書類は人数分準備します。

子を連れて海外移住する一般的な準備については Family Visaで子供を連れて移住する方法 も参考になります。

よくある落とし穴

  • 「特殊技能」要件のハードル:L-1Bは2010年代以降審査が厳格化しており、社内固有のノウハウ・プロセス習熟を具体的に立証する必要があります。一般的なIT技能や業界知識では認められません。
  • New Office申請の1年後再審査:初回1年で売上・雇用・オフィス実態を示せないと延長拒否されるケースがあります。事業計画書の数値達成度が問われます。
  • 第三国でのビザスタンプ取得制限:2025年後半以降、米国領事館は申請者の国籍国または合法居住国でのビザ申請を厳格に求めており、第三国(カナダ、メキシコ等)での申請は受け付けない可能性があります。日本国籍者は原則として東京または那覇で申請してください。
  • 最長滞在期間後の再取得:L-1A 7年、L-1B 5年を使い切った場合、再度L-1を取得するには原則として最低1年間米国外に滞在する必要があります。
  • 永住権切替(EB-1C)の難化:2026年5月、USCISはPolicy Memorandum PM-602-0199を発出し、米国内からのI-485ステータス調整申請を「裁量的」な特例救済として扱う方針を打ち出しました。L-1AからEB-1C経由で永住権を目指すルートを使う場合、領事館経由の手続き(Consular Processing)を含めた戦略を弁護士と検討してください。

FAQ

Q. L-1の承認率はどのくらいですか。
USCIS FY2025データによれば、すべてのL-1ビザの承認率は90%超です(2026年公表)。ただしL-1Bは追加証拠要求(RFE)の発出率がL-1Aより高い傾向にあります。

Q. L-1とH-1Bはどちらが有利ですか。
L-1は抽選がなく、年間枠もありません。1年以上の海外グループ会社勤務歴があれば申請可能で、駐在員には適しています。H-1Bの抽選制度については H-1B抽選の仕組みと当選確率 を参照してください。

Q. ブランケットLとは何ですか。
大企業向けの一括承認制度で、対象企業の駐在員はI-129Sを使い米国大使館で直接ビザ申請できます。ただしブランケットL申請者は面接時に詐欺防止手数料$500を申請者側で支払う必要があります(個別申請では雇用主がUSCIS提出時に支払い)。

Q. 駐在中に転職できますか。
L-1は請願者である雇用主に紐付くため、別企業への転職時にはその企業による新規請願が必要です。

Q. 米国で起業してL-1を取れますか。
新規オフィス(New Office)L-1Aで親会社からの転勤として申請可能ですが、初年度の事業実態証明が厳しく見られます。起業ビザの一般的な考え方は イギリス起業家ビザの完全ガイド でも基本構造を確認できます。

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