英語のジェンダー中立(ジェンダーニュートラル)とは?男女平等かつ多様な社会で重要な表現を紹介!
最終更新日: 2025年12月9日

近年、ファッション業界で「ジェンダーレス」という言葉が流行するなど、日本でもジェンダー(性別)にとらわれない考え方が広まっています。
「ビジネスマン」や「レディース・アンド・ジェントルマン」といった、なじみのある英語表現。
実はこれら、平等主義や多様性が重視される現在では、使われ方が大きく変わりつつあるのです😮
10年前には当たり前だった言葉も、社会の変化に伴い、性別(男女)を区別しない「ジェンダー中立(Gender Neutral)」な表現へと移行しています。
この記事では、英語学習者の方に向けて、ジェンダーに配慮した新しい英語のスタンダードをご紹介します。
特に、1人の人を指す「theyの単数形」の使い方や、職業や敬称の言い換え、関連する言葉など、すぐに使える知識を解説!
英語勉強中の人は、ぜひこれらの表現をマスターしよう🚀
「ジェンダー中立(Gender Neutral)」とは?
「ジェンダー中立」および「ジェンダーニュートラル(Gender Neutral)」とは、男女の性差にとらわれない考え方です。
ここでは、近年ジェンダー中立が重視されている理由や背景を解説します。
単に単語を置き換えるだけでなく、その裏にある考えを知ることが、言葉を自然に使いこなすための第一歩です💡
「ジェンダー(Gender)」と「性別(Sex)」の意味の違い
日本語でもよく耳にする「ジェンダー(Gender)」と「セックス(Sex)」。
この2つの言葉には明確な違いがあります。
一般的に「Sex」は生物学的な性別を指すのに対し、「Gender」は社会的・文化的な役割やアイデンティティとしての性を指します。
英語圏、特にアメリカやイギリスなどの社会において、この区別を明確にすることは非常に重要です。
例文:
- Let's discuss how gender roles have changed over the years.(長年にわたってジェンダーの役割がどのように変化してきたか議論しましょう)
このように、生物学的な区分けだけではなく、個人のアイデンティティや社会的な在り方を尊重しようという動きが強まっています。
なぜ「ジェンダー中立」な英語表現が重要なのか
では、なぜ英語学習において「ジェンダー中立な表現(Gender-neutral language)」を学ぶ必要があるのでしょうか。
それは、特定の性別に対する「偏見(バイアス)」や「差別」を避け、多様な人々を公平に扱うためです。
言葉には、無意識のうちに社会の固定観念が反映されてしまうことがあります🤔
たとえば、医者は男性、看護師は女性といったイメージを言葉で固定化してしまうと、多様な人々の可能性を狭めることになりかねません。
現在、多くのグローバル企業や公的機関、学校などの教育現場でも、ジェンダーに配慮した言葉選びが求められ、組織としてこの変化に対応する必要性が高まっています。
例文:
- We aim to create a gender-neutral environment for everyone.(私たちは、すべての人のためにジェンダー中立な環境を作ることを目指しています)
英語を使って世界の人々と関わる中で、こうした文化的な背景を理解し、適切な言葉を選ぶことはマナーの1つと言えるでしょう。
不必要な誤解を招かないためにも、ぜひ知っておくべき知識です。
1人の相手にも使う?「theyの単数形」を徹底解説
ここからは、具体的な文法の解説に入ります。
近年、英語学習において最も注目されているトピックの1つが「theyの単数形(Singular They)」です。
学校では、「they」といえば「彼ら・彼女ら」という複数を指す代名詞だと習いましたよね。
しかし現在では、たった1人の人物に対しても「they」を使うことが一般的になっています😲
三人称単数としての「they」の使い方
「theyの単数形」は、
- 相手の性別がわからない場合
- 性別を特定したくない場合
- 相手が男性・女性という枠組みに当てはまらない場合(ノンバイナリーなど)
に使われます。
以前は「he(彼)」または「she(彼女)」を使うのが義務のように扱われていましたが、男女のどちらかに限定してしまうという問題がありました。
そこで、より中立的で便利な「they」が単数の代名詞として用いられるようになったのです。
以下の例文のように、特定の1人を指す場合でも they / them / their を用います。
- If a student needs help, they should ask the teacher.(もし生徒が助けを必要とするなら、その人は先生に尋ねるべきです)
- Someone left their phone here.(誰かがここに電話を置き忘れました)
- My partner is coming here and I want you to meet them.(パートナーがこっちに向かってるんだけど、君に会ってもらいたいんだ)
このように、性別不明な「誰か(Someone)」や、一般的な「生徒(A student)」、性別を特定しない「partner(恋人)」を受ける代名詞として非常に便利です。
be動詞や動詞の形はどうなる?
ここで英語学習者が迷いやすいのが、動詞の活用です。
- 意味は単数だから、動詞には三単現のsをつけるべき?
- be動詞はis?
と疑問に思う方も多いでしょう📚
答えはシンプルです。
意味が単数であっても、文法的には複数形と同じ扱いをします。
つまり、be動詞は are を使い、一般動詞に s はつけません⚠️
- My friend is coming, and they are bringing a cake.(私の友人が来ますが、その人はケーキを持ってきます)
- Every person has their own opinion.(すべての人はそれぞれの意見を持っています)
「1人の話をしているのに are を使うなんて変な感じ!」と最初は戸惑うかもしれません。
しかし、これは「You(あなた)」が単数でも You are と言うのと同じ感覚です。
慣れてしまえば自然に使えるようになりますよ🎶
ジェンダー中立な表現に変化する日本と世界の言葉
近年、日本でも「ジェンダーレスファッション」などの言葉が一般化し、性別にとらわれない考え方が広まっています。
1990年代後半から2000年代にかけて男女平等や業務内容の多様化を理由に、「スチュワーデス」から「キャビンアテンダント(CA)」や「フライトアテンダント(FA)」、「客室乗務員」へと言い換えが進みました。
2002年には、それまで一般的だった「看護婦」「看護士」といった男女別の呼称が廃止され、男女ともに「看護師」に一本化されました。
このように、日本語でも性別を前提としない言葉へのアップデートが進んでいます。
世界でも同じように、多くの言語で男女を前提とした言い方を見直す動きが加速しています。
かつては「男の仕事」「女の仕事」という意識が強かったため、多くの職業名に「-man」や「-woman」がついていました。
しかし、性別に関わらず誰もが多様な職業に就く現代において、こうした言葉は時代にそぐわなくなっています💦
男性・女性を区別しない職業・名詞の言い換え表現
次に、名詞や職業に関するジェンダー中立な言い換えを見ていきましょう。
接尾辞「-man」を避ける表現
「マン(man)」が含まれる単語は、中立的な語(Neutral terms)に置き換えるのが一般的です。
ここでは、代表的な6つの職業・名詞の言い換えをご紹介します。
以下の表で、旧来の表現と新しい表現の違いを確認してください。
旧来の表現(Old) | ジェンダー中立な表現(New) | 意味 |
|---|---|---|
Businessman | Business person | 実業家・会社員 |
Policeman | Police officer | 警察官 |
Fireman | Firefighter | 消防士 |
Chairman | Chairperson / Chair | 議長・司会者 |
Stewardess | Flight attendant | 客室乗務員 |
Salesman | Sales associate | 販売員 |
これらの新しい表現を使うことで、相手の性別を決めつけることなくフラットに職業を表すことができます。
例文:
- She works as a firefighter.(彼女は消防士として働いています)
- The chairperson will start the meeting at 4 pm.(議長は午後4時に会議を始めます)
一般的な呼称の変更と関連単語
職業だけでなく、人々への呼びかけや一般的な名称も変化しています。
イベントやスピーチの冒頭でよく聞く「Ladies and Gentlemen(レディース・アンド・ジェントルマン)」も、最近では男女を区別しない呼びかけに変わりつつあるのです。
カジュアルな場面では Guys(みんな)が男女問わず使われることもありますが、より丁寧に、かつジェンダーフリーに呼びかけるなら以下の表現がおすすめです✨
英語表現 | 日本語の意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
Everyone | みなさん | 最も一般的・フォーマルにもカジュアルにも使える |
Folks | みなさん(親しい呼びかけ) | カジュアルで温かい雰囲気を出せる |
All of you | あなたたち全員 | 強調したい時や具体的に全員に呼びかけたい時 |
例文:
- Hello everyone, welcome to our event.(みなさんこんにちは、イベントへようこそ)
- Thanks for coming, folks.(みなさん、来てくれてありがとう)
また、「人類」を意味する Mankind も、Humankind や Humanity と言い換えることが増えています。
『人類はみな兄弟』といった格言的な文脈でも、言葉選びが変わってきているのですね。
敬称も変化!Mr. や Ms. 以外の選択肢
英語では相手の名前を呼ぶ際、敬称(タイトル)をつけることがマナーとされています。
男性なら Mr.、女性なら Ms.(未婚・既婚を問わない)が一般的ですが、これに加えて新しい選択肢が登場しています。
ジェンダーニュートラルな敬称「Mx.」とは
性別を特定しない、あるいは明らかにしない敬称として「Mx.」が使われるようになりました。
発音は「ミクス」や「ムクス」に近いです👂
これは、パスポートや公的な書類の性別欄にも採用されるなど、世界的に認知が広がっている敬称です。
ノンバイナリーの方だけでなく、性別によって判断されたくないと考える人々にも利用されています。
- Please send the email to Mx. Smith.(スミスさんにメールを送ってください)
- Mx. Tanaka is a popular teacher at this school.(田中さんはこの学校の人気教師です)
相手の代名詞(Pronouns)を確認する方法
初めて会う人に対して、見た目だけで「彼は(He)」「彼女は(She)」と判断するのはリスクがあります⚠️
そのため、ビジネスや自己紹介の場面で、自分や相手の「代名詞(Pronouns)」を確認する制度や文化が定着しつつあります。
SNSのプロフィール欄やメールの署名で (she/her) や (they/them) といった表記をご覧になったことはありませんか。
これは「私を呼ぶときはこの代名詞を使ってください」という意思表示です。
もし相手の代名詞がわからない場合は、どう呼べばいいか丁寧に尋ねることも可能です🗣️
例文:
- What pronouns do you use?(どの代名詞を使いますか?)
- My pronouns are he/him. How about you?(私の代名詞は he/him です。あなたは?)
このようにあらかじめ確認することで、誤った代名詞を使ってしまう(ミスジェンダリング)のを防ぐことができます。
12月などの年末年始のパーティーや、4月の新学期など、新しい出会いの季節には特に役立つフレーズですね。
その英語は時代遅れ?日常会話で気をつけたいジェンダー表現
最後に、日常会話の中でつい使ってしまいがちな表現について触れておきましょう。
悪気はなくても、古い表現を使うことで相手に「時代遅れ」という印象を与えてしまうかもしれません😅
「彼氏・彼女」の代わりに「Partner」
恋人や配偶者のことを話す際、Boyfriend や Girlfriend、あるいは Husband(夫)や Wife(妻)と言うのが一般的でした。
しかし最近では、性別を問わない Partner(パートナー)という言葉が好まれる傾向にあります。
これは同性カップルだけでなく、異性カップルや事実婚のカップルなど、あらゆる関係性の人々が使いやすい表現だからです。
- I'm going to dinner with my partner.(パートナーと一緒に夕食に行きます)
- This is my significant other.(こちらは私の大切なパートナーです)
Significant other も「大切な人(配偶者や恋人)」を指すジェンダー中立な表現として便利です。
褒め言葉におけるジェンダーバイアス
人を褒めるときにも注意が必要です⚠️
たとえば、女性に対してだけ Pretty(かわいい)、男性に対してだけ Strong(強い)や Brave(勇敢な)という言葉を選んでいませんか。
無意識のうちに「女性は見た目」「男性は能力」といったバイアスがかかっている可能性があります。
性別に基づいた褒め言葉よりも、その人の行動、性格、能力そのものに焦点を当てた言葉を選ぶと、より素敵なコミュニケーションになりますよ👍
- You are a great leader.(あなたは素晴らしいリーダーです)
- That was an excellent idea.(それは素晴らしいアイデアでした)
- You look very professional.(とてもプロフェッショナルに見えますね)
ジェンダー中立な英語表現をもっと自然に使えるようになるには?
英語では男女を区別しない表現や「theyの単数形」など、文化的な背景とともに身につけたいポイントが増えてきています。
でも、こうした英語表現は「知識として知っているだけ」では、なかなか実践で使えるようになりません。
たとえば、they を単数で使う場面、Business person のような言い換え、Mx. といった敬称などは、実際の会話や文章の中で何度も触れることで自然に身についていきます🌍✨
英語のジェンダー中立表現も、英語学習の他の文法と同じで、使われている実例をたくさんインプットするほど直感的に理解できるようになります。
- 「あ、この場面では everyone を使う方が自然なんだ」
- 「ここは partner を使うのが中立的なんだ」
という感覚が、徐々に体に馴染んでいきます。
Migaku なら、日常会話やネイティブのリアルな英語に触れながら、こうした現代的な英語表現を効率よく学ぶことができます🎧📘
語彙や文法だけでなく、自然なフレーズの流れや実際の使用例を通して、「知っている英語」から「使える英語」へステップアップできるはず。
英語学習のゴールは、相手を尊重しながら、自分の気持ちや考えを自然に伝えられるようになること。
今日から、あなたの英語に少しずつ “ジェンダー中立の感覚” を取り入れてみませんか?💪✨
まとめ
今回の記事で最も大切なポイントは、英語の「ジェンダー中立」表現とは、性別を区別しない言い換えや単数 they のような現代的な使い方を通して、相手を尊重するコミュニケーションを目指すことだという点です。
英語のコンテンツに触れて、なんとなくわかる——を積み重ねる。
その繰り返しこそが、英語力を伸ばす確かな道。
Good luck, and enjoy exploring the new ways English is evolving! 🌈✨